
Title: Effects of anticipatory anxiety and visual input on postural sway in an aversive situation.
邦題:嫌悪状況での姿勢動揺に対する予期不安と視覚入力の影響
Journal: Neurosci Lett. 2010 Apr 19;474(1):1-4.
Authors: Ishida M, Saitoh J, Wada M, Nagai M.
Reviewer: Yasunobu ISHIKAWA
Abstract
背景:
我々は、直立立位で視標を注視している際の状態不安スコアは、姿勢動揺と正の相関であったことを先行研究で報告した。本研究の目的は、姿勢制御に対する予期不安と視覚情報のそれぞれの影響を調査することである。
方法:
35名の健常成人(男性5名、女性30名)が本研究に参加した。参加者の平均年齢は22.9±5.8歳であった。参加者に対しては、予期できない嫌な音(100dB SPL)が予期不安を誘発するために伝えられた。参加者はフォースプラットフォーム上で開眼と閉眼での直立立位を求められ、足圧中心(COP)を計測した。本研究では2(開眼 / 閉眼)×2(静か / 嫌な音)の実験デザインを使用した。
結果:
姿勢パラメーターの解析について、COPの軌跡長および面積は、静かな状況よりも嫌な音を予測した状況の方がより大きいことを明らかにした。高速フーリエ変換解析は、周波数成分は前庭入力(0.1-1.0Hz)が予期した状態の際に増加していることとの関連を示した。平均周波数が高い周波数に変位することにより、低周波数成分(<0.1Hz)は、閉眼で予測できる際に内外側軸を減少させた。結果は健常参加者における予期不安は開眼や閉眼にかかわらず動揺が拡大し、前庭入力は姿勢動揺の拡大に最も影響することを示唆する。
結論:
我々は恐怖の反応とは異なり、先行する不安が動揺を増大させると結論付ける。