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Title:  Association of Educational Attainment With Lifetime Risk of Cardiovascular Disease:

The Atherosclerosis Risk in Communities Study.  

邦題: 教育歴と心血管疾患のリスクとの関連:地域研究におけるアテローム性動脈硬化症リスクの研究

Journal:   JAMA Intern Med. 2017 Aug 1; 177(8):1165-1172.

Authors:   Kubota Y, et al.

Reviewer:  Maki AOYAMA

目的:学歴と狭心症や心筋梗塞,心不全,脳卒中などの循環器系の疾患を発症するリスクとの関連を調査した.

 

内容:学歴が高い人ほど健康的な生活を送り,健康的な職場で働き,医療を利用しやすいことを示した研究は

今までにもいくつかあった.今回,米国ミネソタ大学の久保田康彦氏らは,現在も進行中の「ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)Study」に参加した米国内4地域に住む45~64歳の人々の

うち,1987年から1989年の時点で循環器疾患ではなかった1万3948人(女性56%,アフリカ系米国

人27%)を対象として分析した.

これらの人々を2013年12月31日まで追跡調査し,循環器疾患(狭心症,心筋梗塞,心不全,脳卒

中など)発症の有無を調べた.また,循環器疾患に関係する可能性のある,世帯収入,収入の変化,最も長く継続した職種,親の学歴などに関する情報も収集した.

対象者の最終学歴は以下の6群に分類した.(1)小学校(8.9%),(2)高校卒業未満(13.5%),

   (3)高校卒業(32.6%),(4)専門学校(8.5%),(5)大学卒業または中退(26.1%),(6)大学院また

は専門職大学院(法学,医学など)(10.4%).

 6群を比較すると,学歴が高い人ほど社会経済的地位は高く,喫煙などの不健康な生活習慣を持つ人や肥満,糖尿病などの疾患がある人の割合が低く,健康状態は良好であった.

著者らは,これら6群の人々が45歳から85歳までに循環器疾患を発症するリスクと学歴との関係を調査した.

追跡調査の結果,2013年までに循環器疾患の発症は4512件.循環器疾患を発症するリスクは,白人

男性が48.6%(45~85歳の間に1000人のうち486人が何らかの循環器疾患を発症する),白人女性は34.3%,アフリカ系男性は51.8%,アフリカ系女性は44.8%であった.

全体では,循環器疾患リスクは最終学歴が小学校の集団で最も高く(55.0%),大学院/専門職大学院の集団(36.1%)が最も低かった.リスクの差が最も大きかったのは,高校卒業未満の人(50.5%)と高校を卒業した人(41.7%)の間であった.男女別では,どの集団でも男性より女性のリスクが低く,また,高校卒業未満と高校卒業の間の差は,男性より女性のほうが大きいことが示されました.最もリスクが低かったのは最終学歴が大学院/専門職大学院の女性の28.0%であった.

    さらに対象者を,世帯収入や職種,親の学歴といった社会経済学的特徴に基づいて分類し,各グルー

プの中で学歴と循環器疾患リスクの関係を調べたが,どの集団においても学歴が高いほどリスクは低い

という関係が認められた.

 

結論:  今回の結果は,高校を卒業していない人は,その半数強が中高年期に循環器疾患を発症することが明らかとなった.教育格差を縮小できれば,将来的に循環器疾患患者を減らせる可能性があることが

    示唆された.

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