
Title: Visual analogue scales for pain assessment in Alzheimer's disease.
邦題: アルツハイマー病患者に対する視覚的アナログスケールを使用した痛み評価
Journal: Gerontology. 2000 Jan-Feb;46(1):47-53.
Authors: Scherder EJ, Bouma A.
Reviewer: Yuki Wakatsuki
Abstract
背景
最近の研究では、アルツハイマー病患者の痛み評価はインタビューによって行わるが、アルツハイマー病患者の言語の表現力と理解力の低下を考慮すると信頼性に疑問が残る。幼児にも同様の言語の問題が発生するものの、幼児においての痛み評価の信頼性は、視覚的アナログスケールを使用することによって高くなる。
目的
本研究では、視覚的アナログスケールを使用することで、(1)認知症でない高齢者および高齢アルツハイマー病患者が評価スケールの目的を理解しているかどうか、(2)認知症でない高齢者と比較してAD患者が、痛みの強度および痛みの影響をより少なく報告するのかどうかを調査した。
方法
3つの視覚的アナログスケール、すなわちColored Analogue Scale、Faces Pain Scale、Facial Affective Scaleを、アルツハイマー病の初期および中期の患者と認知症でない高齢者に対して実施した。
結果
その結果、Colored Analogue Scale、Faces Pain Scale、Facial Affective Scaleを理解した対象者の割合は、初期アルツハイマー病群では100、50、60%、認知症でない高齢者群では100、75、100%であり、中期アルツハイマー病群では80、20、30%であった。さらに、認知症でない高齢者は、初期および中期のアルツハイマー病群よりも強い痛みを経験していた。興味深いことに、初期および中期のアルツハイマー病患者は、痛みの影響に差はなかった。
結論
評価スケールの意味を十分に理解しているアルツハイマー病患者には、視覚的アナログスケールを利用できるかもしれない。中期のアルツハイマー病患者のほんの少数だけがFASとFPSの目的を理解しているので、特に中期のアルツハイマー病患者の疼痛を評価するためのツールの調査を継続していかなければならない。