
Title: Association Between Persistent Pain and Memory Decline and Dementia in a Longitudinal Cohort of Elders.
邦題:持続性疼痛と記憶障害と認知症の関連-高齢者に対する縦断的コホート研究-
Journal: JAMA Intern Med. 2017 Aug 1;177(8):1146-1153.
Authors: Whitlock EL, Diaz-Ramirez LG, Glymour MM, Boscardin WJ, Covinsky KE, Smith AK.
Reviewer: Yuki Wakatsuki
Abstract
背景:
慢性疼痛は、高齢者に共通しており、横断研究では認知的な障害と関連する。 慢性疼痛と長期的な認知機能との関連は分かっていない。
目的:
慢性疼痛を反映する持続性疼痛と認知機能の低下との関連性を調査すること。
対象:
対象者は2000年の時点で62歳以上であり、1998年と2000年の両方で疼痛と認知に関する問題に答えた地域在住高齢者10065人であった。この研究は、退職者の健康についての研究として、2年に1度インタビューしたコホート研究であった。データの解析は2016年の6月24日から10月31日に行った。1998年と2000年の両方のインタビューで「持続性疼痛」を持つ対象者は、中等度または重度の疼痛を持つ者とした。
アウトカム:
2000年から2012年の間に追跡調査したアウトカムは、神経心理学的検査結果と情報提供者のインタビューの情報からの記憶能力と認知症の可能性であった。各対象者の線形混合効果モデルにおけるランダム係数、ランダム切片は、持続性疼痛とそれに伴う認知機能の経時的変化の関連を、統計学的に調整され算出された。持続性疼痛は記憶障害を促進させ認知症の可能性の増加を予測すると我々は仮説を立てた。持続性疼痛が機能的な自立に及ぼす影響を数値化するために、我々は記憶と薬の管理能力と経済的な自立との間の関連を調査した。
結果:
10065人の対象者は60%が女性、年齢の中央値は73歳(四分位範囲、67-78歳)であった。持続性疼痛は対象者の10.9%に影響し、抑うつ症状の悪化とADL制限と関連した。共変量の調整後、持続痛性疼痛がないものと比較して、持続性疼痛があるものは9.2%(95% CI, 2.8%-15.0%)より急速な記憶の低下と関連した。10年後、この促進された記憶の低下は、薬の管理することができないという相対的なリスクが15.9%高く、家計を自立できないリスクが11.8%高いことを意味した。調整された認知症の可能性に関しては7.7%早く増加し、(95% CI, 0.55%-14.2%)、10年後には持続性疼痛を持つ者は認知症の可能性が2.2%増加する。
結論:
持続性疼痛は、記憶の低下の促進と、認知症の可能性の増加と関連する。