
Title: Balance training improves static stability and gait in chronic incomplete spinal cord injury subjects: a pilot study.
邦題:バランストレーニングは慢性の不全脊髄損傷者の静的安定性と歩行を改善させる:予備的研究
Journal: Eur J Phys Rehabil Med. 2013 Jun;49(3):353-64.
Authors: Tamburella F, Scivoletto G, Molinari M.
Reviewer: Yasunobu ISHIKAWA
Abstract
背景:歩行は、不全脊髄損傷(SCI)後の最も重要なゴールとして考えられている。近年、バランスが歩行の改善のキーファクターであることが実証されているが、SCI対象者における歩行機能をサポートするバランストレーニングの効果は確認されていない。
目的:本研究の目的は、従来のリハビリテーションと比較して、SCI者のバランスパフォーマンスと歩行を改善させるバランストレーニングの課題特異的な視覚フィードバック(vBFB)の効果を明らかにすることである。
デザイン:コントロールをマッチングさせた後ろ向きのオープンケーススタディー
設定:慢性のSCI外来患者と健常対象者。
対象者:ASIA障害スケールのグレードD-6 の12名のSCI者のvBFBグループ(EXP)とリハビリグループの6名(CTRL)および6名の健常者とした。
方法:健常者のデータは、生理的なバランスと歩行パラメーターを参考として使用した。CTRLとEXP群は、週5回のリハビリテーションを8週受けた(CTRL群:60分のリハビリに専念した、EXP群:40分のリハビリに加えて20分のvBFB)。ベースライン(T0)、10回のvBFBセッション(T1-T2-T3)、トレーニングの終了(T4)およびvBFB後の1および2か月ごとに、以下のパラメーターのデータが収集されグループとトレーニング手段との間で比較した:Berg Balance Scale、 Walking Index for Spinal Cord Injury、6分間歩行、10m歩行およびTimed up and go test、バランスパフォーマンス(stabilometric platformによる評価)、および運動学的な空間的時間的な歩行パラメーター(2次元運動解析システムを使用して収集した。)
結果:T4において、EXPグループのみがバランスで有意な改善を経験し、臨床的で機械的に評価された歩行がそれを説明した;その改善はフォローアップの調査でも持続した。さらに、EXP群について、バランスの増大は、T1に先立って歩行が改善することがみられ、さらに歩行とバランスの改善の間に有意な相関が確認された。健常データを比較すると、vBFBの方法は、従来のリハビリよりも有意に高い水準の効果を実証した。
結論:vBFBトレーニングは慢性のSCI者のバランスと歩行の改善に有効である。
臨床のリハビリテーションへの影響:慢性のSCI者に対してvBFBの含まれるリハビリテーションの実施計画は、従来のリハビリテーションのみと比べると歩行の改善により効果的である。