
Title: Pain Experience in Dementia Subtypes: A Systematic Review.
Authors: Binnekade TT、Van Kooten J、Lobbezoo F、Rhebergen D、Van der Wouden JC、Smalbrugge M、Scherder EJA
Journal: Curr Alzheimer Res. 2017;14(5):471-485.
邦題:認知症のタイプよる疼痛経験:システマティックレビュー
レビュワー若月勇輝
Abstract
背景:
近年、認知症の痛みに焦点を当てた研究が盛んに行われている。しかし、異なる認知症のタイプによる疼痛への神経病理学的影響に関して、ほとんど注目されていない。2003年のレビューでは、認知症のタイプと疼痛経験との関係を示唆するいくつかの研究が含まれていた。ここ10年でアップデートされている。
方法:
疼痛経験および認知症サブタイプを評価した研究を特定するために、PubMed、Embase、PsycINFO、CINAHL、およびCochrane Libraryで検索することにより、システマティックレビューを実施した。包含基準は以下の通りであった:(1)主要な認知症のタイプの診断、すなわちアルツハイマー型認知症(AD)、血管性認知症(VaD)、前頭側頭型認知症(FTD)、レビー小体型認知症(DLB)。 (2)60歳以上(3)疼痛経験。
結果:
アルツハイマー型認知症を対象とした12の研究、血管性認知症の3つの研究、前頭側頭型認知症の1つの研究を特定した。レビー小体型認知症の研究はなかった。 アルツハイマー型認知症では、臨床的疼痛に関する研究は対照と比較して疼痛経験の減少を示しているのに対し、実験的研究では一致した結果は得られていない。痛みの部位に関しては、血管性認知症では痛みの部位が多い報告されているが、臨床研究おける主介護者による評価では、血管性認知症と認知的に良好な人と同等であると報告されている。また、血管性認知症の痛みの強さは、自己報告評価において認知的に良好な人よりも痛みを強く報告した。前頭側頭型認知症では、実験的に誘発した疼痛への感受性が有意に低いことがわかった。これらの知見は、研究が少ないことから、慎重に検討されるべきである。
結論:
これらの文献は、認知症のタイプが疼痛経験に影響を及ぼすというエビデンスを提供している。認知症のタイプと疼痛経験との関係は、認知症患者の疼痛の評価と管理を改善するための基礎として役立つ可能性があるため、それを明らかにするためにさらなる研究が必要である。