
Cortical representation of pain: functional characterization of nociceptive areas near the lateral sulcus.
Pain. 2000 Aug;87(2):113-9.
Treede RD, Apkarian AV, Bromm B, Greenspan JD, Lenz FA.
邦題: 痛みの大脳皮質表象:外側溝付近の侵害受容野の機能的特徴
レビュワー平井達也
Abstract
痛みに関する大脳皮質の表象において外側溝(シルビウス裂溝)付近の体性感覚領域が関連しているという根拠が多く示されている。
サルを使った解剖学的な研究では、頭頂弁蓋における二次体性感覚皮質の付近への侵害受容性を反映する経路が示され、それは、シルビウス裂溝内側の深部にある島皮質前部にも反映する。
臨床的観察ではヒトのシルビウス裂溝周囲の皮質のこれら2つの領域における損傷に伴う痛み感覚の改変を示す。ヒトにおけるイメージ研究では、痛み刺激への反応において、同側および対側のシルビウス裂溝周囲の皮質において明らかな血流が増加していた。痛み刺激(レーザー輻射熱のような)は前頭頂部(T3、T4)において頭皮最大の電位を誘発する。硬膜下での記録と同様に良い方法であるいくつかのダイポール電源分析では、皮膚に対する痛みレーザー刺激に応じた早期誘発電位が頭頂弁蓋に電源由来することが確認されてきている。以上のことから、ヒトのイメージングおよび電気生理的研究が示唆することは、シルビウス裂溝周囲の皮質は痛み刺激により活動し、痛み刺激の中枢処理において最初の拠点となる皮質の一つであるということである。シルビウス裂溝周囲の皮質における痛み(深部頭頂弁蓋や前島部)や触覚(二次体性感覚皮質や後島部)の表象領域と近いが離れているという根拠は多数ある。解剖学的乖離は、侵害受容神経の単一ユニット記録が低閾値の機械刺激受容神経を構成する領域をまれに含むことが理由の一つかもしれない。急性および慢性疼痛における距離的に近いシルビウス裂溝周囲の皮質の機能的有意性(感覚弁別、動機付け、認知的評価)は理解が十分されていない。感覚‐辺縁系に投射する経路に含まれるこれらの領域のいくつかは、痛み記憶と同様に潜在的に組織にダメージを与える刺激の認知を補助しているかもしれない。