
Title: Identification of gait domains and key gait variables following hip fracture.
邦題:大腿骨近位部骨折患者における重要歩行変数と歩行領域の識別
Journal: BMC geriatrics,2015, 15(1), 1.
Authors: Thingstad P, Egerton T, Ihlen EF, Taraldsen K, Moe-Nilssen R, Helbostad JL.
Reviewer: Yuuki Yoshimoto
Abstract
背景と目的:
近位部骨折患者の歩行回復はリハビリテーションにおいて重要な帰結である。多数の先行研究により歩行速度を中心に多くの変数が報告されているが、歩行速度以外の変数で重要とされるものを提示できているとはいえない。本研究の目的は、大腿骨近位部骨折患者の帰結予測因子となる歩行領域、または重要な歩行変数を特定することである。
方法:
249名の大腿骨近位部骨折患者の時間的・空間的歩行変数を計測した。31の歩行変数を選択手続きにより16に絞り探索的因子分析を行った。因子分析には、斜行回転と主成分分析を用い、特有の歩行領域と領域それぞれにおける重要歩行変数を明らかにした。また、多重回帰分析を用いて重要歩行変数と年齢、性別、骨折型、痛み、認知機能、握力との関係を検討した。
結果:
対象は平均年齢82.6歳、75%が女性、平均歩行速度は0.6±0.2m/secであった、因子分析の結果4つの歩行領域に分けられ、それぞれの重要歩行変数として、両脚支持時間、歩行率、ステップ速度の変動、単脚支持の非対称性が抽出された。歩行障害に有意な予測因子として認知機能低下、握力低下、関節包外骨折、男性があげられたが、痛みや年齢は相関しなかった。
著者の結論:
このスタディーにより高齢な大腿骨近位部骨折患者の歩行において4つの重要歩行変数を提示した。これらの変数は将来の悪化予測因子と関連し、将来的な研究を待って歩行速度に加えて検討されることが推奨される。
URL: http://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-015-0147-4