
Title: How is motor skill learned? Change and invariance at the levels of the task success and trajectory control
邦題: 運動スキルはどのように学習されるか? 課題成功と軌道制御の水準の変化と不変性
Journal: J Neurophysiol 108: 578–594, 2012.
Authors: Lior Shmuelof, John W. Krakauer, Pietro Mazzoni
Reviewer: Hiroaki WARASHINA
Abstract
背景:
運動スキル学習(ベースラインの水準を越えたパフォーマンスの改善)は運動適応(外部摂動の環境内でベースラインのパフォーマンスへの回復)よりも実験的な注目は受けていない。運動スキルは課題の成功という水準と運動の質という水準で評価されることができる。しかし、これら水準の関連は十分に理解されていないままである。私たちは外部摂動のない手関節の視覚的に誘導されるカーブを必要とした運動スキル課題を考案した。私たちはその課題水準でのスキル学習を、スピード、正確性のトレードオフ機能(SAF:Speed-accuracy trade-off function)の変化と定義した。
目的:
①私たちは、課題のスキルが局所的あるいは全体的に制御されるか測定するために、1つの難易度での練習でSAFはどのように変化するか調べた。
②運動の質が、高められたスキルと一緒に変化するか立証するために、改善されたパフォーマンスと同時に起こる運動学的な変化を調べた。
③異なる難易度の練習がスキル学習にどう影響するか立証するために、異なるスピードで指示された練習の時SAFの変化はどうか比較した。
方法:
対象は右利き50人(28人女性、18−38歳)、対象者はランダムに4つのグループに分けられた。
対象者はモニターの前に座り、テーブルの上で左腕にあて木を施され、手首を回転させることでスクリーンのカーソルをコントロールした。課題のゴールはカーソルをサークルからもう一つのサークルへと時計回りに弧形の経路を通って、経路の端に触れたり横切ったりせずに動かすことだった。
テストとトレーニングのセッションではあらかじめ決められたMT(Movement Time)で運動をするよう要求された。
対象者は5日間(月曜日から金曜日)連続して研究に参加し、月曜日(1日目)と金曜日(5日目)にテストセッション、火曜日〜木曜日(2日目〜4日目)にトレーニングセッションを行った。
テストセッションでは、4つのグループの各個人はあらかじめ決められた5つの時間範囲で行った。
4つのグループは、トレーンングセッションでのみ異なるプロトコルであった。
結果:
制限された速度範囲での練習はSAFの全体的な変化につながった。軌跡平均に小さい変化はあったが、改善したパフォーマンスは主に練習毎の変動の低下から成り、運動の円滑さが増加した。おもしろいことは、躍度などの運動要素の構造は不変のままだった。
著者の結論:
課題難易度の広範囲にわたって、SAFの全体的な概念は、この課題のスキルが時間的に拡張性のあるネットワークだということを意味することを示唆している。私たちは、運動スキルの獲得は運動の変動がゆっくりと減少することに特徴付けられ、それは適応パラダイムの中でより早く規則的なエラーを減少する学習を基礎とするモデルとは性質が異なっているということを提案する。