
Title: Video capture of the circumstances of falls in elderly people residing in long-term care : an observational study
邦題:介護施設居住高齢者のビデオ撮影を用いた転倒状況調査:観察研究
Journal: Lancet. 2013 January 5; 381(9860): 47–54
Authors: Robinovitch SN, Feldman F, Yang Y, Schonnop R,etal
Reviewer: Yuuki Yoshimoto
Abstract
背景と目的:
転倒は、高齢者特に介護施設居住者において好発する健康被害である。しかし、それらの転倒がどのようにまたなぜ発生するかという報告は少ない。本研究の目的は、転倒の実際状況についてのエビデンスを実生活のビデオ撮影を用いて提供することである。
方法:
カナダの2つの長期介護施設にて約3年間の調査をおこなった。デジタルカメラを共有エリアに設置し、転倒が発生した場合に施設スタッフから研究者へ伝達されるようなシステムを構築した。それらによって収集されたビデオを検者が観察し、転倒発生時の身体状況と行動について評価用紙を基に調査した。
判明した事象:
130名の対象から227回の転倒を観察した。転倒時の身体状況で最も多かったのは体重移動時(41%)で続いて、つまづき(21%)、支持の消失(11%)、衝突(11%)、崩れる(11%)、滑る(3%)であった。また転倒時の行動においては、歩行が最も多く(24%)、続いて立位(13%)、座位(12%)であった。先行研究によると、転倒時の行動としては、立位や移乗時が多く、歩行時は少なかった。加えて、支持面の動揺に比し重心の動揺が転倒の原因として多くみられた。
解釈:
今回の調査により、介護施設在住高齢者における転倒に繋がる行動や身体状況について明らかにすることができた。今回の調査をもとに、介護施設居住者に対する転倒予防や評価に寄与できるものと考えている。