
Title: Evidence that older adult faller prioritise the planning of future stepping action over the accurate execution of ongoing steps during complex locomotor tasks
邦題:転倒高齢者は複雑な歩行課題中、進行中のステップの正確な実行よりも先のステップ行動を優先させるというエビデンス
Journal: Gait & Posture: 2006
Authors: G.J.Chapman, M.A.Hollands
Reviewer: Hiroaki WARASHINA
Abstract
近年のリサーチでは、転倒リスクが低い高齢者と転倒リスクが高い高齢者との間で、いつどこでステップする目標物をみているのか、そしてその後の踏み出しの正確さについての違いを強調している。これら発見をもとに、我々は、転倒リスクの高い高齢者は、先のステップ行動の計画を、運動中のステップを正確に行うことよりも優先させること、そのストラテジーの採用が転倒可能性の増大に関与することを提起した。本研究では、要求する歩行条件の複雑さを操作し、若年者、転倒リスクの高い高齢者、転倒リスクの低い高齢者の間で注視やステップパフォーマンスを比較することでこの仮説を調べるようデザインした。被験者は7mの経路に沿って自分のペースで歩き、3つの障害物条件[(1)1つのステップターゲット(2)2つのステップターゲット(3)高くなった障害物によって分けられた2つのステップターゲット]の中の一つに出くわした。平均では、経路に1つのターゲット(ターゲット1)がある時、全てのグループは踵接地後まで注視していた。しかしながら、更なる間近に迫ったステッピングの制約に挑戦した時、転倒リスクの高い高齢者は踵接地の前にターゲット1から有意に早く視線を移した。平均では、先の制約に関わりなく転倒リスクの低い高齢者と若年者は踵接地後まで視線を止めていたままだった。早すぎる視線の移動はステップの正確さや精度の低下と関連があった。我々の発見は、転倒リスクの高い高齢者は複数の障害物に挑戦する際に潜在的に危険な注視戦略を選択することを示唆している。このふるまいの基礎となる推定のメカニズムは議論される。