top of page

Title:   Coffee Drinking and Mortality in 10 European Countries: A Multinational Cohort Study.

邦題: ヨーロッパ10カ国のコーヒー摂取量と死亡率

Journal:     Ann Intern Med. 2017 Jul 11. doi: 10.7326/M16-2945. [Epub ahead of print]

Authors:    Gunter MJ, Murphy N, Cross AJ et al.

Reviewer:  Maki AOYAMA

目的: 今までにも,コーヒー摂取は健康に良い影響を及ぼすという報告は複数あったが,それらは主に米国

   人対象に行われた研究結果であった.

フランスの国際がん研究機関(IARC)のMarc J. Gunterらは、コーヒー摂取と死亡の関係が,他の人種や他の地域に住む人々にも見られるのか否か,コーヒーの摂取が特定の死因による死亡のリスクを減らしたり高めたりするのかどうかを明らかにするため,欧州10カ国の市民を対象に研究を行った.

 

内容: 分析の対象としたのは,欧州10カ国(デンマーク,フランス,ドイツ,ギリシャ,イタリア,オラン

ダ,ノルウェー,スペイン,スウェーデン,英国)の一般市民,主に35歳以上の45万1743人(男性

13万662人と女性32万1081人).

コーヒー摂取量は食物摂取頻度調査の中で尋ね,ライフスタイル質問票を用い,学歴,喫煙,飲酒習

慣,運動量などに関する情報も収集した.

当初のコーヒーの摂取量に基づき,国ごとに対象者を分類した.全く飲まないグループを参照群と

設定し,残りの人々を摂取量が最も少ない人から最も多い人まで並べて4等分した.主に比較したのは,参照群と最もコーヒー摂取量が多かったグループ(1日当たり摂取量の中央値は男性855ml,女性684ml)

であった. 

コーヒーの摂取量調査から平均16.4年追跡したところ,4万1693人(男性1万8302人,女性2万

3391人)が死亡していた.そのうち1万8003人は癌,9106人が循環器疾患,2380人が脳血管疾患(脳梗塞,脳出血など),3536人が虚血性心疾患(心筋梗塞など),1213人が消化器疾患,1589人が呼吸器疾患で死亡,1571人が外傷性の死亡,418人は自殺であった.

これらの死亡とコーヒー摂取量との関係を分析した結果,コーヒーを全く飲まない人々と比較して,コーヒーを最も多く飲む人々の,あらゆる原因による死亡(総死亡)のリスクは,男性で12%,女性では7%低下していた.これらの差は,統計学的有意差が認められた.また,コーヒーを飲む量が多い人ほど総死亡リスクが低いことも示唆された.コーヒー1杯を237mlとすると,1日の摂取量が1杯増加するごとに,総死亡リスクは男性が3%,女性は1%低下していた.

欧州では国ごとに,好まれるコーヒーの抽出方法が異なる.しかし,各国のコーヒー摂取量と死亡との関係に差はなく,抽出方法にかかわらず,より多く飲む人の死亡リスクが低い現象が一貫して認められた.

コーヒーの摂取は,消化器疾患による死亡リスクの低減とも関係していた.1日の摂取量が1杯増加するごとのリスク低下は,男性が23%,女性は14%であった.

消化器疾患による死亡の3分の1強は,肝臓病による死亡.男女合わせて分析したところ,コーヒーを全く飲まない人と比較して,最も多く飲む人々の肝臓病による死亡リスクは80%も低いことが明らかとなった.その一方,肝臓病以外の消化器疾患による死亡のリスクは,統計学的に有意差を認めなかった.また,コーヒーを最も多く飲む人では,肝硬変による死亡のリスクも79%低下していた.更に,男女ともコーヒー摂取量が多い人の肝臓がんによる死亡リスクは,全く飲まない人に比べ40%前後低いことが明らかとなった.

次いで,男女に差が見られた項目もあった.循環器疾患による死亡と脳血管疾患による死亡では,女性のみ,コーヒー摂取量が最も多いグループでリスク低下が認められた.一方,癌による死亡,および卵巣癌による死亡は,いずれも女性においてのみ,コーヒー摂取量が最も多いグループでリスクの上昇がみられた.この関係は,カフェインを含むコーヒーと含まないコーヒーの摂取量を別々に分析しても,同様にであった.

    著者らはさらに,対象者の中から無作為に選んだ1万4800人を対象にコーヒーの摂取と,血液中の肝

機能,炎症,代謝の状態を示す検査値との関係を調べた.

すると,コーヒーの摂取量が多い人々では,肝機能の指標であるALT,AST,γ-GTP,ALPの値が低く,肝機能は良好であることが示されました。さらに女性では,コーヒー摂取量が多い人で,炎症の指標であるCRPや動脈硬化の危険因子であるリポ蛋白,血糖値を反映するHbA1cが低く,いずれも状態は良好であることが明らかになり,コーヒーが健康に有益であることが分かった.

 

結論: コーヒーの摂取は,総死亡といくつかの死因別死亡の低減に関係していること,ただし女性では,

   癌による死亡のリスクの上昇に関係することを示した.

URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Coffee+Drinking+and+Mortality+in+10+European+Countries%3A+A+Multinational+Cohort+Stu

© 2023 by BI World. Proudly created with Wix.com

bottom of page