Title: Objective and subjective measures reflect different aspects of balance in multiple sclerosis.
邦題: 客観的および主観的な評価は多発性硬化症におけるバランスの異なる側面を反映する
Journal: J Rehabil Res Dev. 2013;50(10):1401-10.
Authors: Cameron MH, Huisinga J.
Reviewer: Yasunobu ISHIKAWA
Abstract
目的:
本研究の目的は多発性硬化症(MS)におけるバランスの主観的および客観的な評価の関連性を調査することである。
対象と方法:
54名のMSを有した対象者に対してバランスの評価が行われた。客観的な評価は感覚統合機能テスト(SOT)を使用した動的な重心動揺検査であり、主観的な評価はActivities-specific Balance Confidence (ABC) スケールと国際版転倒関連自己効力感尺度(FES-I)とした。MSに関連した障害は神経症状評価尺度(EDSS)にて評価された。動揺の大きさ(実効値、距離と面積)との関連のみでなく、足圧中心の動揺の速度(SOTからの圧中心のシグナルから計算)、複合したSOT、ABCスケール、 FES-IおよびEDSSスコアが評価された。
結果:
足圧中心の動揺の大きさと速度はABCスケール(rho = -0.2 から -0.5)、FES-I (rho = 0.3 から 0.5)およびEDSS(rho = 0.3 から 0.4)と統計的に有意な相関がみられた。複合したSOTもまたABCスケール、FES-IおよびEDSSと統計的に有意な相関がみられた。重心動揺検査に反映されるような客観的なバランスの評価は不安定性の主観的な報告およびMSにおける臨床的な障害の評価と有意に関連した。
考察:
相関は中等度か弱く、MSを持つ人々のバランスの問題の包括的な説明について、おそらく客観的および主観的バランスの両方の評価が必要であることを示す。
用語の補足
【 The Activities-specific Balance Confidence (ABC) Scale 】
特定の活動におけるバランスの自信を調べる評価法
各設問に対し、自身の程度を0%(自信がない)から100%(完全に自信がある)までを回答する。設問は全部で16個ある。
1.自宅周辺の歩行 2.階段の昇降 3.クローゼットの床の正面にあるスリッパを、腰をかがめて拾う 4.目の高さの棚にある小さな缶に手を伸ばす 5.つま先立ちをし、頭の上の何かに手を伸ばす 6.椅子の上に立って何かに手を伸ばす 7.床を掃く 8.家から私道に停車中の車に歩いていく 9.車に乗るまたは降りる 10.ショッピングモールの駐車場を歩いて渡る 11.傾斜路を上るもしくは下る 12.人々があなたを急いで追い越していく混雑したショッピングモール 13.人々がショッピングモールを歩いているあなたにぶつかっている 14.あなたは手すりにつかまった状態でエスカレーターに乗るまたは降りる 15.小包のようなものを持ち、手すりにつかまることができない状態でエスカレーターに乗るまたは降りる 16.凍った歩道を歩く
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