邦題:地域在住高齢女性のバランス障害の訴えと姿勢制御の障害は関連しているのか?重心動揺を使用した横断研究
Journal: Braz J Phys Ther. 2015 May-Jun;19(3):186-93.
Authors: Tanaka EH, Santos PF, Reis JG, Rodrigues NC, Moraes R, Abreu DC.
Reviewer: Yasunobu ISHIKAWA
Abstract
背景:
転倒のリスクは加齢とともに増加する。バランス障害の訴えは高齢者の集団の中で大変多く聞かれる。
目的:
本研究の目的は地域在住高齢女性のバランス障害の主観的な知覚が姿勢制御(客観的な分析)の低下と関連するかどうかを検討することである。
方法:
静的な重心動揺が2群に使用された:2群はバランス障害の訴えのある高齢女性(WC群)と訴えのない高齢女性(NC群)とした。前後(AP)と内外(ML)方向の足圧中心(COP)の面積、平均動揺振幅および平均速度が3つの肢位で分析された:開眼と閉眼での片脚立位、両脚立位およびタンデム立位と2種類の異なる地面で実施された: 安定(固い)と不安定(フォーム)。デジタルクロノメーターによって片脚立位の保持時間(Tlimit)を計測した。Kruskal-Wallis検定に続きMann-Whitney検定を行い、Friedman検定の多重比較に Bonferroni補正による Wilcoxon検定が行われた。さらに、Spearmanの順位相関係数がデータ分析に利用された。有意水準はいずれも5%未満とした。
結果:
重心動揺の変数の結果は両群に有意差がないことを明らかにした。片脚立位時間はNC群と比較して、WC群の左片脚立位の方がより短い保持時間であることを明らかにした。重心動揺の変数と保持時間に負の相関がみとめられた。
結論:
重心動揺は群間の違いを示さなかった;しかしながら、片脚立位時間はバランス障害の訴えのある高齢女性と訴えのない高齢女性において姿勢制御のパフォーマンスが異なることを認めた。