Title: Posturography and risk of recurrent falls in healthy non-institutionalized persons aged over 65.
邦題: 65歳以上の施設に入所していない健常者の重心動揺と再転倒のリスク
Journal: Gerontology. 2006;52(6):345-52. Epub 2006 Aug 11.
Authors: Buatois S, Gueguen R, Gauchard GC, Benetos A, Perrin PP.
Reviewer: Yasunobu ISHIKAWA
Abstract
背景:
高齢者の姿勢制御能力の低下は転倒リスクの増加と関連している。重心動揺計はバランス制御を評価するために広く使用されている;しかしながら、転倒を予測する値は不明なままである。
目的:
今回の前向き研究の目的は再転倒のリスクの推定をするための重心動揺の予測値を決定することである。
方法:
206名の施設に入所していない65歳以上の健常者を対象とした。姿勢制御は重心動揺検査によって評価され、静的、動的および動的なプラットホーム(静的検査、ゆっくりとした動的試験および感覚統合機能テスト[SOT])、さらに臨床のバランス評価(Timed Up and Go test、片脚立位バランス、椅子立ち座りテスト)を実施した。その後、転倒はバランス検査の後から16ヶ月の期間、4ヶ月ごとに自己質問を実施し、前向きに観察した。参加者は非転倒群(転倒0回)、1回転倒群(転倒1回)、複数転倒群(2回以上の転倒)の3群に分類された。
結果:
視覚と体性感覚の入力が歪められるといった、SOTで感覚相反する条件の最後の試験期間でのバランスの減退は、再転倒を予測するための最適な要因であった(OR = 3.6, 95% CI = 1.3-10.11)。複数回の転倒は非転倒、1回転倒に対して、この感覚条件の測定の間、何の姿勢適応もみられなかった。複数回の転倒は視覚情報が遮断された際に有意な動揺の増加を示した。臨床のバランス検査について、静的検査とゆっくりとした動的検査はいずれの群においても有意な違いがないことを明らかにした。
結論:
本研究に参加した施設に入所していない65歳以上の高齢者について、SOTによる重心動揺検査、特に感覚相反する条件での同じ課題の繰り返し、臨床的な試験と、静的および動的重心動揺テストに比べて、再転倒の高いリスクを判別するための感度の高いツールであることが示される。
※ SOT ( Sensory Organization Test )についての参考資料
http://research.n-fukushi.ac.jp/ps/research/usr/db/pdfs/00123-00003.pdf