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Title: Preventable Incidence and Mortality of Carcinoma Associated With Lifestyle Factors Among White Adults in the United States.

邦題: 米国の白人成人の生活習慣とガン発生率・死亡率との関係

Journal: JAMA Oncology. (2016 May 19)

Authors: Song M, Giovannucci E.

Reviewer: Maki AOYAMA

Abstract

目的:

癌に罹患,または癌で死亡した患者のなかに,もしも,以下の「4つの生活改善」を行っていれば,癌の発症または癌による死亡を予防できた可能性のある人がどの程度いたかを推定し,成人の生活習慣と癌の発生率および死亡率との関係を明らかにする.

 

選択基準:

本研究では「健康的なライフスタイルを送るための4つの生活改善」の条件を,①喫煙歴なし,または禁煙した.②飲酒習慣なし,または適度の飲酒.③BMI 18.5以上27.5未満.④激しい有酸素運動を週75分以上,または中強度の有酸素運動を週150分以上実施.とした.

 

データの収集と分析:

対象は,米国の男女の医療従事者,女性8万9571人,男性4万6339人.これらの人たちを,健康的なライフスタイルを送っていたか否かで「低リスク群」と「高リスク群」に分類した.

上記の4項目すべてを実践できていた人は「低リスク群」,それ以外の人は「高リスク群」とし,環境要因が発症に大きく影響すると考えられている皮膚がんなどを除いた,様々な種類の癌の発症とそれによる死亡の発生率を比較した.「低リスク群」は女性1万6531人と男性1万1731人,「高リスク群」は女性7万3040人,男性3万4608人.10万人当たりの癌発症者数は,「低リスク群」の女性が463人,男性では283人,「高リスク群」の女性では618人,男性は425人であった.

 

主要結果:

癌の部位別に検討した結果,健康的な生活を送ったのであれば,肺癌を発症した女性の82%,男性78%は肺癌を予防でき,大腸癌は女性の29%,男性の20%,膵臓癌では女性の30%,男性の29%,膀胱癌は女性の36%,男性の44%,腎臓癌は女性の36%,男性の4%,口腔咽頭癌は女性の27%,男性の32%,肝臓癌は女性の27%,男性の32%,食道癌は女性の62%,男性の66%が発症を避けられたと考えられた.

 それぞれの癌による死亡についても同様に検討した.健康な生活を送っていれば,肺癌で死亡した女性の84%,男性の77%は肺癌による死を避けることができたと推定された.同様に,大腸癌死亡については女性の29%,男性の26%,膵臓癌ではそれぞれ26%と27%,膀胱癌は38%と52%,腎臓癌は34%と48%,口腔咽頭癌は75%と57%,肝臓癌は33%と28%,食道癌は44%と55%が癌で死亡せずに済んだと考えられた.

 健康的な生活を続けていれば,すなわち前述の①から④までの条件をすべて満たす生活をしていれば,癌の発症は予防できたと推定されたのは,女性患者の25%,男性患者の33%だった.同様に,女性の癌死亡者の48%と男性の癌死亡者の44%が,癌による死亡を避けることができたと推定された.

 

著者の結論:

一般の人より健康に対する意識が高い医療従事者を対象とする分析で,生活改善を行えば,癌発症の20~40%と癌死亡の約半分は予防できた可能性が示された.「一般の人々が,禁煙し,飲酒量を適度に抑え,健康なレベルのBMIを維持し,積極的に運動すれば,さらに多くのがん発症と死亡を予防できるだろう」と著者は述べている.

 

(本論文は米国医師会が発行する「JAMA Oncology」誌電子版に2016年5月19日付で掲載された.)

URL:  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27196525

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