
Title: Potato intake and incidence of hypertension: results from three prospective US cohort studies.
邦題: ジャガイモ料理を頻繁に食べると高血圧リスクが上昇する
Journal: BMJ. (2016 May 17)
Authors: Borgi L, Rimm EB, Willett WC, Forman JP.
Reviewer: Maki AOYAMA
Abstract
背景:
ジャガイモはカリウムの含有量が多く,カリウムの摂取は高血圧の予防になると考えられているが,同時に糖質も多く含んでいる.ジャガイモ料理の摂取と高血圧の関係については,これまで十分に研究されていなかった.
目的:
ジャガイモ料理を頻繁に食べると高血圧症になりやすいか否かを明らかにする.
データの収集と分析:
今回著者が対象としたのは,様々な年齢の医療従事者のうち,追跡開始時点では高血圧ではなく,過去1年間にどのような食べ物をどのくらいの頻度で食べていたかを尋ねる質問に回答していた18万7453人.この人達を約20年追跡調査し,高血圧と診断されたかどうかを調べた.
それぞれのジャガイモ料理の1回分の摂取量を以下のように仮定した.(1)ベイクドポテト,ボイルドポテト,マッシュポテトはジャガイモ1個分もしくは1カップ,(2)フライドポテトは113gまたは1皿,(3)ポテトチップスは小袋または28g.これらを過去1年間にどのくらいの頻度で摂取していたかを質問し,回答に基づいて対象者を,「1カ月に1回未満」,「1カ月に1~3回」,「週に1~3回」,「週に4回以上」の4群に分類した.ジャガイモ料理の摂取頻度が1カ月に1回未満の人々を参照群とし,高血圧に関係するさまざまな要因を考慮した上で,摂取頻度がより高い人々の高血圧のリスクを推定した.
主要結果:
結果,ベイクド/ボイルド/マッシュポテトの摂取が頻繁な人ほど,高血圧になりやすいことが明らかになった.週に4回以上食べる人は,高血圧と診断されるリスクが11%上昇していた. フライドポテトの場合も同様で,摂取が頻繁な人ほど高血圧になりやすく,週に4回以上食べる人の高血圧のリスクは17%高くなっていた.しかし,ポテトチップスの摂取と高血圧の間に関係は見られず,著者たちは「これは予想外の結果」と述べている.
分析の際に考慮する要因に,塩分その他の微量栄養素(カリウム,マグネシウム,カルシウム,食物繊維など)の摂取量を加えても結果は変化しなかった.
著者の結論:
米国の男女の医療従事者を長年にわたって追跡した研究のデータを利用し,ベイクドポテト,ボイルドポテト,マッシュポテト,フライドポテト,ポテトチップスの摂取と高血圧の関係を分析した.その結果,ポテトチップスを除くジャガイモ料理を食べる頻度が高い人ほど,高血圧になりやすいことが明らかになった.
ジャガイモ料理を野菜料理に置き換えた場合,高血圧リスクが低下するかどうかを検討した.1日1回ベイクド/ボイルド/マッシュポテトを食べる代わりに,デンプン質ではない野菜1皿を食べると,高血圧のリスクは7%低下することが示唆された.その一方,ベイクド/ボイルド/マッシュポテトをデンプン質の野菜に代えても,高血圧リスクは変化しなかった.
URL: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4870381/