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文献レビュー
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(224)痛みと介護依存は関連する!?

September 26, 2020

【一言メモ】

臨床では、痛みの患者さんが介護に依存的な場面がみられます。セラピストが、痛みのある動作、痛みのない動作をしっかり評価すること、介助をしすぎることで介護依存にならないようにすることを、より注意しなければならないと再認識しました。

(223)AD患者は自分の記憶や行動の問題についてどう認識しているか?

September 12, 2020

【一言メモ】

 行動障害型前頭側頭型認知症とprobable ADの患者は自己の記憶能力について正確に評価できず、また、すべてのグループが行動症状を正確に評価できなかったようです。

(222)ADとMCIの認知機能低下の気づきの障害に関連している脳活動とは?

August 29, 2020

【一言メモ】

ADやMCIの方の中に、自分の認知機能低下に気づいていない場合があります。内側前頭前野と前側頭皮質が関連しているようです。

(221)運動性認知リスク症候群!?

August 09, 2020

【一言メモ】

認知症発症の前段階では歩行速度の低下と主観的記憶低下を統合し、一つの症候群とする概念だそうです。このMotoric cognitive risk (MCR) syndromeという用語は要チェックです。

(220)MCIの主観的記憶と記憶課題の不一致と脳の病理

July 25, 2020

【一言メモ】

記憶力の低下を過小評価した者は、認知機能の低下を過大評価した者よりも、記憶力テストの成績が低く、海馬の容積が小さく、アルツハイマー病の病理が大きかったとのことです。

(219)初期の主観的認知低下では白質の微細損傷がある!

July 04, 2020

【一言メモ】

SCDの者は、認知的には正常範囲であっても、白質の微細損傷はaMCIと同じくらいあるという論文です。やはり認知症は気づかないうちに進行するようです。

(218)軽度膝OA患者におけるTUGの最小可検変化量とは!?

June 27, 2020

【一言メモ】

この研究は、比較的軽度な膝OA患者を対象にTUG の信頼性と最小可検変化量(MDC)を明らかにした論文です。結果は、単一の評価者、および評価者間の測定に基づくMDCは、それぞれ1.10秒と1.14秒でした。

(217)SMIの段階で嗅内皮質の体積は減少している!

June 12, 2020

【一言メモ】

記憶の形成に重要な海馬と密接な関係にある嗅内皮質はSMIの段階でその体積が減少していることが示されています。MCIより早い段階のSMIの重要性がわかる論文でした。

(216)親族により記憶障害を指摘された高齢者はDTでの歩幅がばらつく!

May 17, 2020

【一言メモ】

主観的記憶障害と歩行の関連を検討した研究です。親族により記憶障害を指摘された高齢者は、デュアルタスクにより歩幅のばらつきが大きくなるとのことです。

(215)習慣的に身体活動をしているADの高齢者は姿勢制御が優れている

May 09, 2020

【一言メモ】

週5日1時間の身体活動をしているアルツハイマー病の高齢者は、身体活動をしていない健常者よりも姿勢制御が優れており、一方、身体活動をしていないアルツハイマー病の高齢者は最も不安定であったと報告しています。つまり、アルツハイマー病により姿勢制御は不安定になるが、身体活動により改善可能であると結論付けています。

(214)大腿骨近位部骨折を呈した重度認知症患者は、手術をしたほうが長生きで痛みが少ない!

May 02, 2020

【一言メモ】

高齢の重度認知所患者さんが大腿骨近位部骨折になると、家族が手術を希望しない場合がありますが、この論文では手術をしたほうが、生存率が高く、痛みも少ないことを報告しています。

(213)一般診療で主観的記憶障害はどのように考えられているか?

April 18, 2020

【一言メモ】

ドイツの一般開業医は、主観的記憶障害(SMI)をどのように捉えられているかについて、検討した論文です。一般開業医がきちんとSMIを診断できれば、その後の対策がより効率良くなると思います。

(212)高齢者のバランス能力の改善には体幹伸展の持久性が関与する

April 11, 2020

【一言メモ】

体幹伸展の持久性がバランス能力に関連していることを報告した論文です。ちなみに、この論文ではいわゆる“筋力”をstrength, power, enduranceと分類して検討をしています。

“筋力”という用語を正しく使用できているでしょうか?

(211)脳梗塞患者の体性感覚の回復過程が明らかになった!?

April 04, 2020

【一言メモ】

この論文では、脳梗塞患者の体性感覚と運動機能を発症時、発症から3か月後、発症から12か月後に、経時的な評価を行っています。発症から3か月で有意な改善を示すそうです。運動機能の回復についての報告はよく見ますが、体性感覚についての報告は少ないので貴重です。

(210)主観的記憶障害(SMI)の評価で認知症は予測できるか?

March 28, 2020

【一言メモ】

ベースラインでSMIがあって、2年後に健忘型MCIがあるとADに変換するリスクはかなり高くなるようです。不安をともなうSMIはとくに要注意かもしれません。

(209)DTを使用したTUGはパーキンソン病患者の転倒リスク検出に有用!?

March 21, 2020

【一言メモ】

この研究は、パーキンソン病患者を対象として、転倒群と非転倒群に分けて、通常のTUGにTUGcog(3ずつ引いていく計算)とTUGman(コップの入った水を運ぶ)を追加して、検査の有用性が高まるかどうかを明らかにした後ろ向きコホート研究です。結果は、地域在住高齢者と同様にパーキンソン病患者でもTUGcogが有用であることが示されました。

(208)透析患者のバランス能力を改善させるために必要なトレーニングとは?

March 14, 2020

【一言メモ】

透析患者のバランストレーニングに着目した論文です。持久性や抵抗運動のみでなくバランス練習を含むとより改善するとしています。透析患者に限らず、虚弱高齢者にも適応できるかもしれません。

(207)精密な把持動作は大脳基底核のメカニズムによる!?

March 07, 2020

【一言メモ】

力を調節して握らなければならないような精密な把持動作時において、大脳基底核はグリップ力の計画等に関与するという事が重要な点です。把持動作時のグリップ力や視覚的フィードバックの有無においても活動量に変化があり訓練時やデータを取るときには注意してみていかなければならないと感じました。

(206)脳卒中後の重さ感覚は疲労感と関連する!?

February 29, 2020

【一言メモ】

本研究は、脳卒中後の四肢の重さ感覚の変化を問題とし、疲労感と運動障害が四肢の重さ感覚と関連するのか検討しており、より疲労感が重さ感覚と関連していたこと、また筋力低下と重さ感覚に関連はなかったと報告しています。

(205)初期のMCIの約30%は正常に戻る!?

February 15, 2020

【一言メモ】

他民族で形成されるコミュニティーでのMCIとADへの移行などを調査した大規模研究です。MCIでも約30%は正常に移行するが、記憶および少なくとも1つの認知的領域が障害されている者は、ADへ移行するリスクがより大きいということでした。

(204)DTを使用したTUGにおいて、認知タスクと運動タスクに違いがある?

February 08, 2020

【一言メモ】

この論文では、地域在住高齢者にとって、認知デュアルタスク(計算)を使用したTUG(TUGcog)は転倒のリスク増加を特定するための有効な評価であることを示しています。なおかつ、TUGcogのカットオフ時間として10.0秒を推奨しています。通常のTUGと運動デュアルタスク(水の入ったコップを持つ)のTUG(TUGman)では、転倒リスクを高く評価はできなかったとしています。地域在住高齢者にとっては、TUG・TUGmanは容易すぎるため、認知タスクを使用することが有効なのかもしれません。

(203)在宅生活する脳卒中患者は転倒リスクが高い!!

February 01, 2020

【一言メモ】

在宅生活する脳卒中患者は、転倒リスクが高いことを報告した論文です。印象的に感じたことをしっかりと論文化していくことは重要だと改めて思いました。退院後も転倒リスクを考慮する必要性を再確認できました。

(202)学習にメタ認知はどのように影響するか?

January 25, 2020

【一言メモ】

この論文は、学習における2つの自己調整の方法を観察しています。リハでも運動学習中の患者の自己調整について観察すると、より深く効果的な方法を考えられると思います。データ駆動(結果から次の試行をどのように行うかを調整すること)と、目標駆動(目標から試行をどのように行うかを逆算により調整すること)がポイントです。

(201)物体を持ち上げた時の重さの判断は片手と両手で異なる!?

January 12, 2020

【一言メモ】

この論文では、重さの主観的な判断は、片手と両手で物体を持った時に異なった判断をすることが述べられています。両手での判断は、過去の経験が影響すると考察されています。重さの感覚を評価するためのヒントになりそうです。

(200)立位バランスでの加速度計データを使用すれば、転倒しそうな人を判別できる?

January 04, 2020

【一言メモ】

立位バランスの加速度データがBBSとTUGと相関し、転倒者と非転倒者を区別できたことを示した論文です。10年前の論文で、現在においてもどんどん安価になり、広く使用されるようになってきた印象を受けます。しかしながら、実際臨床で使用しているというのは、あまり聞いたことがないです。主体的に加速度計のことを勉強していかなければと考えさせられました。

(199)ふらつきが脳の退行変性に関与!?

December 28, 2019

【一言メモ】

身体の動揺と脳の退行性変化との関連を年齢、性差に分けて比較した論文です。高齢者は、不安定な姿勢および感覚入力の減少により、脳の構造的退縮に関連し姿勢制御が低下するという点は興味深い点でした。

(198)握力のグレーディング:つもりと実際は異なる!!

December 21, 2019

【一言メモ】

思ったような力は実際には出ていないことを様々なグループ間で比較した論文です。このつもりと実際の関係が加齢によりどうなるのかが興味深い所です。

(197)加齢は手指筋のグレーディング出力のバラツキに影響をあたえる!

December 14, 2019

【一言メモ】

手指の筋で測定されたグレーディングは低い出力レベルの時に高齢者の方がよりばらつくこと、運動単位の発火は高齢者の方が大きくなることが示されました。これから高齢者の握力のグレーディングに関する論文を作成する際のキー文献となると思います。

(196)在宅での運動は転倒をした後の高齢者にも効果あり!!

November 30, 2019

【一言メモ】

すでに転倒をした高齢者を対象に在宅での運動プログラムを実施するというおもしろい組み合わせの研究です。そもそも転倒をしないための予防は大切、転倒をした後に再度転倒しないための予防も大切です。

(195)ADの失行症と運動学習は関係ない!?

November 23, 2019

【一言メモ】今回の論文では、失行症状がある患者でも運動学習が可能かどうかは分離して考えられるという点がポイントです。失行症状の有無にかかわらず認知症患者の学習が部分的に可能であるという事はリハビリテーションにおいて行為の改善の可能性があるという事でありとても参考になった。

(194)今年の夏に発表されたバランスに対する運動プログラムの系統的レビュー

November 09, 2019

【一言メモ】どんな種類の運動でも運動をしないよりバランスはよくなるようです。視点を変えると、どんなことをやっても改善するからこそ、なぜ改善したのかをデータに基づいて慎重に考察する必要が臨床家には求められると思います。

(193)ADの運動技能学習中の視覚FBへの依存

October 19, 2019

【一言メモ】日頃から認知症の利用者を担当させていただくことが多くあるが、どのような情報に注意を向けてリハアプローチを行っていくか難しさを感じていた。今回の論文では、フィードバック情報の利用の仕方が、健常者とは異なることがポイントであると考えられる。視覚情報に依存しやすい認知症利用者にどのようにして他のフィードバック情報に注意をさせるかを考えなければならないと感じた。

(192)紡錘運動と力と重さの感覚の求心性情報の起源

October 13, 2019

【一言メモ】

この論文では、重さの感覚が、筋疲労や麻痺によってどのように生じるのかを、主に筋紡錘の変化から考察しています。骨折後や術後患者の重さの感覚異常について、考えるヒントになると思いました。

(191)パーキンソン病患者の重さ知覚は初期段階から変化する!?

October 05, 2019

【一言メモ】

パーキンソン病患者の重さ知覚が変質していることを報告した論文です。臨床では、パーキンソン患者においても身体の重さを訴える方を経験します。そのような患者さんを理解するヒントになりそうです。

(190)人工関節術後の違和感を定量的に測定できる!?

September 28, 2019

【一言メモ】

人工関節術後患者の最終目標として、違和感を無くすことを目的に作成された指標です。人工関節のみならず、その他の整形外科的な手術を受けた患者にも違和感を訴える患者は多く、この指標をアウトカムとして臨床に取り組みたいと思いました。

(189)姿勢不安定時の共同収縮パターンは加齢により高まる!?

September 22, 2019

静的立位バランスにおいて、不安定になりそうな時、高齢者は筋の共同収縮パターンが有意になることを示した論文です。高齢者は重心動揺を軽減しようと共同収縮パターンが有意になり、体幹と下肢関節が固定されてしまう可能性を示唆しています。

(188)運動感覚の測定するマッチング課題とポインティング課題とは!?

September 15, 2019

【一言メモ】 運動感覚の測定にはマッチング課題とポインティング課題があるようです。臨床での運動感覚の評価にこれらは用いられていない印象があるため、臨床で使用可能か、論文を読み、詳細を把握する必要があります。

(187)重さ感覚は筋紡錘が影響すると報告する研究が増えている!?

September 07, 2019

【一言メモ】 重さ感覚はこれまで脳に由来すると考えられてきましたが、最近では筋紡錘がどのように影響しているのかを研究した報告が多いそうです。大腿骨近位部骨折術後の患者さんは重さを訴えることが多いので、そのヒントになりそうです。

(186)シルビウス裂溝付近の侵害受容野の機能的特徴とは?

August 31, 2019

【一言メモ】シルビウス裂溝周囲の皮質は痛み刺激により活動し、痛み刺激の中枢処理において最初の拠点となる皮質の一つであり、痛みだけでなく、触覚の表象領域が近いのではないかとされています。このことは、痛みは運動や運動学習に影響するということ。これは重要ですね。

(185)感覚運動システムの不一致は疼痛関連障害を引き起こす!

August 16, 2019

感覚運動システムの不一致は疼痛関連障害を生じさせることをまとめたレビュー論文です。このようなレビュー論文はこの問題に関して勉強し始めた者にとって、非常にわかりやすくとてもありがたいです。

(184)感覚運動の不一致は手が増える感覚を誘発する!?

August 11, 2019

【一言メモ】

感覚運動の不一致により出現する異常感覚について詳細に調査した報告です。この研究では、感覚運動の不一致により、手が増える感覚を訴える対象者が著明に多かったと報告しています。

(183)ADの小脳はどうなっている?

August 03, 2019

【一言メモ】ADの小脳の病理的、機能的な問題に関するかなりまとまったレビューです。レビュワーの平井はADの運動学習に関する研究をしていますが、このレビュー論文は一つのキー文献になることは間違いありません。

(182) 考え事しながらバランスを崩すときは、左右にふらつく!?

July 27, 2019

注意散漫になるときは、バランスが悪くなることはよく知られています。この研究では、立位バランスにおいて二重課題が前後方向よりも左右方向の姿勢の剛性減少と姿勢の動揺の増加をもたらしたと報告しています。二重課題では左右にふらつくことが多いことを示唆しています。

(181)脊椎圧迫骨折患者はバランスが悪い!!

July 20, 2019

脊椎圧迫骨折患者は痛みに着目されることが多いですが、もちろんバランスも悪化しています。そもそも、転倒による受傷が多い疾患なので当たり前のような気もしますが。

(180)大腿骨近位部骨折術後の高齢者のQOLは低下する!?

July 14, 2019

大腿骨近位部骨折術後によりQOLが低下すること検証した論文です。QOLの評価項目の中に痛み/不快感が含まれ、健常高齢者よりも大腿骨近位部骨折術後患者の方が不快感を持っている結果となっています。痛み以外にも不快感を訴える患者さんは存在するため、これもリハビリテーションの対象となる印象を受けました。

(179)小さい方が重い!?

July 06, 2019

大きさ-重さ錯覚に関する論文であり、タッチ(岩村 2001)の参考文献でした。臨床では、中枢疾患、整形外科疾患の患者さんから、四肢の重さの訴えをよく聞きますが、その現象を理解するヒントになりそうです。

(178)筋骨格性疼痛がある地域在住高齢者のバランスは悪くなる!?

May 18, 2019

【一言メモ】この研究では筋骨格性疼痛が静的立位バランスに影響を及ぼしていることを明らかにしています。

前後方向のCOPの揺れは足関節戦略、より大きな揺れは股関節戦略を反映していると説明しています。方法に関して、上肢の条件について記載はありませんでした。

(177)高齢者の生活空間と認知機能低下との関係

May 11, 2019

【一言メモ】生活空間とそれに続く認知機能の変化との関係を調べた報告です。ベースライン時の生活空間の拡大により、認知機能低下が減少すると予測されています。生活空間が認知機能低下の危険にさらされている高齢者の有用な識別子となり得ることを示唆しています。

(176)フレイルが機能的な能力を維持するために必要な外出の頻度と距離とは?

May 03, 2019

【一言メモ】地域在住の虚弱高齢者が屋外に外出する生活空間とADLとの関連を調査した報告です。週に一回未満での屋外での活動があることはADL維持に有効であるとされています。

(175)一定条件のADは視覚運動スキルの獲得と保持は可能!?

April 27, 2019

【一言メモ】視覚運動スキルにおいて、アルツハイマー病となっても、一定の条件を持っている者はコントロール群と同様の学習は可能であることを示しています。ただ、対象者数が少ないことと課題の種類によって学習の度合いが変わることを考慮すべきでしょう。

(174)課題サーキット訓練は慢性脳卒中における運動課題の成績を改善する!

April 20, 2019

【一言メモ】

慢性期脳卒中患者の歩行運動に対するトレーニングの有効性が示されています。課題関連練習は慢性期においても即時的で保持される効果があるようです。

(173)今後の認知症の痛み評価研究に必要とされることは?

April 13, 2019

【一言メモ】

認知症の痛み研究の権威であるHerr先生による最近のレビュー論文です。既存の認知症に特化した痛み評価方法への問題を提示しています。今後の研究は、さらに精度の高い評価方法へ改良する必要があると述べています。

(172)片脚立ちテストは標準化されていない!?

April 06, 2019

【一言メモ】

このレビューでは、片脚立ち試験に関して、標準化された手順はないと報告しています。目の開閉や脚の選択に関しても、コンセンサスは得られていません。高齢者では転倒リスクを考慮して開眼が推奨されています。片脚立ち試験はさまざまな方法があるため、片足立ち時間の基準値を設定するのは困難で、研究を比較する際は、手順の詳細に注意を払うことが不可欠です。

(171)身体活動はアルツハイマー病患者の脳領域を増やす!

March 30, 2019

【一言メモ】アルツハイマー病に対する身体活動が脳領域の増加に影響するか?様々な手法での研究をレビューした論文です。身体活動が前頭前野と海馬の領域を増加させることは一致しているようです。

(170)認知症患者の痛みは、認知症のタイプにより特徴が異なる!?

March 23, 2019

認知症のタイプにより疼痛の特徴が異なることを、システマテックレビューにより明らかにしています。それぞれの症状により、リクス管理、運動負荷量の調整を行っていく必要性を感じました。

(169)歩行速度は加齢変化とともに低下する?

March 16, 2019

歩行に関するPT関係の論文で多く引用されている和論文です。著者も高名な先生揃い踏みされています。データを俯瞰する際MEANやSDなどの数字だけではなく散布図を見ることが大事だと理解させてくれます。歩行速度は20代から直線的に低下するわけではなく、60代を経てから低下がはじまります。一方歩行率は、直線的に低下をみせています。恥ずかしながら知りませんでした。

(168)認知症患者の痛みは心理社会的介入が有効!?

March 09, 2019

認知症患者の痛みに対して、心理社会的アプローチの効果についてのシステマティックレビューです。レビューに選択された論文は、バイアスのリスクがあるため、結果の解釈に注意する必要があると述べられていますので、それに配慮しながら、具体的な方法に関して参考にしていきたいと思いました。

(167)心理面に問題のある膝OA患者は将来的に痛みと機能が悪化する可能性が高い

March 02, 2019

【一言メモ】膝OA患者の心理面は1年後の痛みや機能の悪化を予測する重要な因子であると報告した研究です。身体機能に着目することはもちろん大切ですが、“身体機能のみ”に着目してしまうと大きな問題を残すことになるのかもしれません。

(166)慢性痛患者のホームエクササイズの成功のカギは心理面にある!?

February 23, 2019

【一言メモ】患者さんにホームエクササイズを指導しても、思ったほど効果が出ていなくて悩むことはありませんか?この論文では、ホームエクササイズにて改善の見られた対象者は、恐怖回避信念とセルフエフィカシーが関係していたとしています。心理面にも着目してみてはいかがでしょうか?

(165)健康に関連する自己効力感は運動により改善する!?

February 16, 2019

【一言メモ】自宅在住高齢者を対象に、筋トレや有酸素運動またバランスを組み合わせた運動が健康に関する自己効力感などを検討した研究です。12ヶ月で健康関連の自己効力感は上がるが、24ヶ月にわたって維持するのは難しいようです。加齢による減少と運動による改善のせめぎ合いでしょうか?現場でどのように維持するかは課題ですね。

(164)慢性腰痛の「痛み」と「能力制限」の間には何が介在するか?

February 10, 2019

【一言メモ】

慢性腰痛は臨床でも頭を悩ますことが多い疾患の一つですね。この論文では、慢性腰痛の「痛み」と「能力制限」の関係を説明するために痛みセルフエフィカシーが重要であると結論付けています。慢性腰痛の評価は幅広い視野で診なければいけませんね。

(163)肩に痛みを持つ者はバランスが悪くなる!?

February 02, 2019

【一言メモ】4ヶ月以上肩に痛みを持つ30代から80代を対象にバランスや姿勢安定性を調べたところ、健常者と比較し、バランスや姿勢安定性が低下していたとしています。今後、バランストレーニングにより肩機能の改善につながるかということを述べていますが、3月の愛知県PT学会では、肩機能の改善がバランス機能と関連した症例について発表します。

(162)歩行の加齢変化を知っているつもりでした・・・

January 26, 2019

この論文は歩行の加齢変化を示すキー論文として多く引用されています。この論文の結果と自分の認識はおおむね合致するものの、年齢間で歩隔の増大に有意な差がみられないなど、少し意外な結果も示してくれました。歩隔の実測値では若年が8~9cm、高齢が9~10cmとほとんど違いがないように見えます。臨床で歩行の変化を検討する際、健常な加齢変化の高齢者と加齢変化以上に問題が発生している高齢者の違いを踏まえて観察するべきであると感じました。歩行の加齢変化を知っているつもりの自分を修正する為に、調査を続ける予定です。

(161)片足立ち時間のロコモを検出するためのカットオフ値とは?

January 19, 2019

この研究は、ロコモティブシンドロームをスクリーニングするために実施されました。片足立ちテストは特別な機器を必要とせず、安全に実行でき、習熟するのにほとんど経験を必要としないため、非常に有用な手段と述べられています。方法は両手を腰に当て、前方に5㎝ほど片足を上げ、左右2回実施しその平均値を採用しています。検査前にそれぞれの足で1回ずつ練習しています。75歳以上では6秒がcut off値として提案されています。

(160)高齢者の移動範囲とは?

January 12, 2019

アメリカで老人医療保険制度の利用者の生活空間(LS)の調査をしたところ、身体機能と相関し、2週間では安定していたが6か月後には増加・減少の変化がみられたとのことです。どのような人が増加しどのような人が減少しているのでしょうか?

(159)転倒の恐怖の尺度としての転倒効力感

January 05, 2019

転倒恐怖心を評価するとき、本人へ恐怖心の有無を聴取している文献がおおく見られます。本研究は恐怖心を評価する転倒効力感の開発に関するものです。段差を越えるなど運動機能が高いものしか測定出来ないという点はあるが、目に見えない患者の恐怖という感情を測定するための重要な評価であるということを再確認しました。

(158)後ろ歩きトレーニングを行った不全脊髄損傷者の結果は?

December 23, 2018

連続レビューの最後は後ろ歩きが効果的であったというケースレポートです。ケースレポートの結果は一般化がしにくいことがあり、著者も限界で述べています。しかし、一人の症例をしっかりと記述していくことは、我々、臨床に勤めているセラピストの義務の一つであると私は思っています。

(157)末期の認知症患者への痛み行動評価

December 15, 2018

この論文では医師と看護師が末期の認知症患者に痛み行動評価を行った際の問題点を抽出しています。対象者は、痛み行動評価の使用しにくさや限界を感じていますが、今後も継続して適切な評価や治療を行えるようになる必要性を感じているという結果となっています。セラピスト視点でも既存の痛み行動評価について議論し、より適切な評価や治療について議論すべきだと思いました。

(156)不全脊髄損傷者のバランスには視覚FBによるトレーニングがおすすめ!?

December 08, 2018

視覚フィードバックによるトレーニングが良好であったとの報告です。この研究の興味深いところは、単に前後の比較を行うのではなく、課題の学習成績にも着目していることです。機能改善の乏しい脊髄損傷者に対しては、残存機能を活かすこと、つまり、運動学習の観点が重要になると思われます。

(155)障害物を跨ぐ際の歩行変動も転倒と関係している?

December 01, 2018

グーグルスカラーのメールサービス(非常に便利です!検索用語を登録しておくと、新たに投稿された論文内で検索用語にひっかかった論文を送付してくれます。)にてチェックできた、非常に興味深い論文です。臨床で障害物を跨ぐ動作をチェックすることが多いですが、どのようなアウトカムに落とし込むべきか、少々迷うこともあります。この論文の結果によると歩行変動もチェックする必要がありそうです。

(154)ニンテンドーWii Fitを持っているけど使用していない方へ

November 24, 2018

ニンテンドーWii Fitによるトレーニングを実施した不全脊髄損傷者のバランスに改善がみられたと報告しています。知人の家にもWii Fitがありますが、使用している形跡が全くありません。このようなツールをセラピストがどのように使うのか、というのも重要な問題になってくると思います。

(153)認知症の痛み評価ツールは臨床では使用されていない?

November 17, 2018

医師に対する認知症の痛みとマネジメントに関するアンケート調査です。この調査により、医師が認知症特有の痛み評価を知っている割合は10%と低く、使用している医師が少ないことが明らかになりました。セラピストでも同様な問題がありそうです。

(152)脊髄損傷後の歩行能力の改善には下肢機能は関係ない!?

November 10, 2018

著者の結論は、脊髄損傷後の歩行能力の改善は下肢機能を常に反映するわけではないとしています。本文を見ると結果の解釈が単純ではなく、ややこしいです。機能を評価することは重要なことですが、それのみに捕らわれてはいけないことを示唆しています。

(151)痛み関連恐怖感を持つ持続性腰痛患者の18か月にわたる変化とは?

November 03, 2018

長期の強い腰痛を持つ症例は、クリニックでたまに見られます。このような症例が行動療法を含むセラピーでどのように変化するかを18か月に亘って評価した事例報告です。臨床でしか得られないデータを提示することは臨床家の務めですね。

(150)肩の痛みを伴う患者における生体学的測定:検者間信頼性

October 27, 2018

痛みを持つ方に対する運動機能の測定は確かに値がバラつくなど、信頼性に疑問を持つ事があります。この研究では肩の痛みに焦点を当て、SEMやMDCを使用して、信頼性を検討しています。対象疾患は限定されていますが、参考にはなるデータです!

(149)肩腱板病変に治療に対する臨床的有意性とは?

October 20, 2018

最近、単なる統計的有意な変化と臨床的に有意な変化を分けて考えることが重要視されています。この研究では、肩腱板病変の治療に対しその結果の臨床上有益であることを示す指標のMCIDと満足度の指標であるPASSで6週後の変化を示しています。今後の臨床的な事例報告などはこれらの指標を提示する必要性があると思います。

(148)運動学習の初期段階では運動システムより感覚システムが優位!

October 07, 2018

この研究は、20歳代の健常若年者を対象として、運動種類(アクティブとパッシブ)と強化の有無をコントロールすることにより、運動学習の初期段階に、運動システムと感覚システムどちらが貢献するかを検討しています。結果は、エラーの減少は「強化」があること、体性感覚の経験のみであるパッシブな運動のでも「強化」があればアクティブな運動でのトレーニングと同等の学習効果が得られたことから、運動学習初期には体性感覚の優位性があることを示しています。

(147)肩を固定するとバランスが悪くなる!?

September 15, 2018

アームスリングのようなもので肩を固定したときに、BBSのスコアが有意に低下することを示した論文です。肩甲帯を含めた肩から上肢の機能は、バランスをとるときに、貢献していることが示唆されています。

(146)固有感覚による運動制御は加齢によって制御様式が変わる!?

September 08, 2018

この論文では、足関節の角度をマッチングさせるという課題で、高齢者は若年者と比較し補助的な動きが大きく、課題終了まで時間を要し、また、速さを要求すると角度のエラーが大きくなることが示されています。我々の開発した下肢コントロールモニタリング装置を用いた課題でも、高齢者に課題時間の延長とエラーの増加がみられており、類似した高齢者の運動制御の特徴が表れています。

(145)仮想現実(VR)と拡張現実(VA)を脊髄損傷者のトレーニングに使用してみた結果は?

September 01, 2018

最近、身近になっているVRとVAを慢性の不全脊髄損傷者のトレーニングで使用したところ、モチベーション、下肢筋力、バランスおよび歩行が改善したと報告しています。モチベーションにも着目しているところが興味深いところです。今後は、このような機器を上手く利用することも重要になってくるのかもしれません。

(144)水中トレッドミルトレーニングは不全脊髄損傷者のバランスと歩行に効果がある

August 18, 2018

水中トレッドミルトレーニングは不全脊髄損傷者のバランスと歩行を改善させたと結論付けた研究です。本文の研究限界でも述べられていますが、対照群との比較を行っていないため、水中トレッドミルトレーニングの効果であったのかは疑問です・・・

(143)脊髄損傷者に対する従来のバランストレーニングよりも効果があるものは?

August 04, 2018

慢性の不全脊髄損傷者のバランスと歩行の問題に対する介入方法を検討した論文です。結果では、従来の介入に視覚フィードバックを加えた介入が効果的であるとしています。研究で使用されている視覚フィードバックは、足圧中心を利用したトレーニングです。

(142)不全脊髄損傷者のほとんどは転倒経験がある!?

July 28, 2018

不全脊髄損傷者に対して転倒に関するアンケートを行った研究です。なんと参加者の75%もの人が1年間に転倒経験ありと回答しています。参加者自身は、転倒にはバランスが関連していると感じているそうです。今後の私のレビューでは、不全脊髄損傷者のバランスについて投稿していく予定です。

(141)視覚運動追従課題の修正行動とパフォーマンスの正確性、安定性の関係

July 21, 2018

この論文では、視覚運動追従課題において、修正行動の増減が、パフォーマンスの正確性、安定性に関係していることが示されています。この研究は横断的ですが、運動学習を考える上では、縦断的に対象の修正行動やパフォーマンスの正確性、安定性を客観的なデータとして表し、変化をとらえていくことがとても重要だと考えます。

(140)運動の自覚的強度は自己効力感と関連する!?

July 15, 2018

自覚的運動強度評価(RPE)はこれまでに運動処方の場面で使用されてきましたが、あくまでも自覚的であり、様々な影響を受ける可能性があります。本研究は、RPEと同様の心理的測度である自己効力感との関連を示したものです。自己効力感が高い者は運動強度が高くなるに従い、RPEもコンスタントに上昇することが示されています。心理的測度を臨床で使用する際は、いろんな影響があることを考えなければなりません。

(139)圧痛計の信頼性と妥当性

July 07, 2018

最近、私の所属先で痛みの評価として圧痛計を用いています(借りものですが…)。これまであまり、用いられた報告や論文を目にしていなかったのでちょくちょくレビューしたいと思います。この研究は、徒手による圧痛計の非常に高い信頼性とフォースプレートの圧痛計との比較による妥当性があることを示しています。

(138)練習でのパフォーマンスの変化と筋活動の変化の関連は低い!?

June 30, 2018

熟練者は未熟者より運動パフォーマンス中の筋活動が低いことは基礎運動学などにも書かれていますが、このシステマティックレビューでは筋活動量の変化とパフォーマンスの変化の関連は低いことを示しています。何事も思い込みは危険です!

(137)高齢者の実際の歩行に関する運動イメージは明らかになっていない!

June 23, 2018

この研究は健常高齢者の通常の運動イメージと話しながら歩行する際の運動イメージについてRCTを用いて明らかにしたものです。こういう基礎的なデータを押さえずに研究していることが意外に多い気がします。基礎的なデータを固めてから応用的なデータを取ることを心掛けたいと思います。

(136)慢性腰痛患者は運動イメージも問題か?

June 16, 2018

慢性腰痛患者の運動イメージ中の脳活動をfMRIにより検討した研究です。患者群では運動イメージ関連領域の活動が減少しており、慢性腰痛患者の機能的結合が健常コントロールと異なっていることが示されています。臨床で腰痛を改善するということが単純なアプローチでは不十分である可能性が考えられます。

(135)症例からみる座位時の体幹と上肢の相互作用とは!?

June 09, 2018

体幹が弛緩している神経学的疾患患者の座位における上肢と体幹の関連に関するレビュー研究です。担当した症例が、上肢機能の低下がバランスや全身の動作に影響したと思われる状態を示し、バランスにおける上肢の関与などについての研究を調べていますが、日本語論文が意外に少ない状況です。これから研究していきます!

(134)POMAの評価をするなら要チェックです

June 01, 2018

POMAを評価するなら必ず目を通したほうがよい論文だと思います。信頼性の検討に始まり、転倒/非転倒カットオフの検討まで実施されており、評価の結果を吟味するには有用です。また、絶対信頼性の検討方法や評価の妥当性について勉強するにも適した論文で、Bland-Altman plot,LOA,MDCやROC などResultsに示される指標でわかることがよく理解でき、私自身大変勉強になりました。PT関係のMDC計算方法はこの論文を引用していることが多いようですね。そして原著が非常に読みやすい!これが一番ありがたい!

(133)臨床的に意味のある変化量(MCID)を定義した論文

May 26, 2018

評価値の変化が臨床的に意味のある変化かどうか検討するMCID(Minimal clinical important difference)を初めて定義した論文です。MCIDの算出方法は多岐にわたり本研究においては、順序尺度のGlobal ratingを用いています。私見ですが、はたしてそれが妥当なのか疑問を感じています。MCIDの定義という意味ではキー文献となるかと思いますが、どうなんでしょうか。ちなみに、原著は、方法、結果、結論が大変読みにくいです。気合溢れる方のみどーぞ!

(132)最小可検変化量(MDC)を定義した論文

May 19, 2018

評価値の変化を測定誤差であるか、真の変化であるかを検討するMDCを初めて定義した論文です。計算方法がメジャーなものと違うため注意が必要です。また、論文に追加されているInvited CommentaryとAuthor Responseが非常に良い。MDCやMCID、ROC、RICなど値の変化を検討する手法はいくつかありますが、それらがどのような関係にあるのか大変理解しやすいものでした。興味があるかたは是非、原著の方もみてください。

(131)グレーディングと年齢、筋群、筋収縮量と時間の関係

May 12, 2018

以前、平井が行った研究(2007)では、年齢の違いはなく、収縮レベルが上がると、過少出力が増大しました。これは逆の結果を示しています。その結果は、追試され支持されていますが、時間という要素が入ると変わるということでしょうか?追試が必要です。

(130)転倒恐怖を持つ高齢者は歩行時の運動イメージが悪くなる!

May 05, 2018

転倒恐怖の有無によるTUGの実際の時間と見積もりの違いを比較した研究です。転倒恐怖を持つ高齢者は持たない高齢者より実際遅いのに、見積もりは同じであった、つまり過剰な見積もりをしていることが示されました。運動イメージの問題は転倒恐怖と関連していることが示唆されます。

(129)健常高齢者の協調運動テストの遂行時間は?

April 29, 2018

時間計測による協調運動テストの基準値の報告は不足しています。この論文では、健常高齢者の協調運動テストの平均遂行時間や、その特徴を示しています。しかし、遂行時間だけでは協調運動を捉えることは絶対にできません。

現在、我々は、臨床で使える機器による協調運動評価を用い、スピードと正確性を数値化し、対象の特徴を研究中です。ご興味のある方は是非、当研究会にお問い合わせください。

(128)急性の中枢神経疾患患者に対する信頼性、妥当性のある協調運動評価とは

April 21, 2018

臨床場面で行われる協調運動の定量的評価方法はあまり知られていません。この論文では、臨床的に行われる指鼻テストや踵膝テストを順序尺度で評価するよりも、遂行できた5回の反復時間を計測する方が評価者間の信頼性が高いことを示しています。このように、課題の遂行時間を計測することも必要ですし、同時に、トレードオフ関係である正確性をより定量的に計測する方法を考えることが協調運動を評価する上で重要になってくると思います。

(127)歩行中の体幹筋同時収縮は加齢で低下し歩行スピードと関係する!?

April 14, 2018

通常加齢によって歩行パターンは変化し、筋の同時活性化は関節の安定性に寄与します。この論文では、歩行中、高齢者は若年者や中年者と比較し、体幹の筋同時活性化が有意に低下していることを示し、また、体幹の筋同時活性化と歩行スピードは有意な正の相関があることを示しています。実際、転倒と関連しているかはまだわかりませんが、歩行の安定性には、歩行中の体幹の筋同時活性化が関与しているかもしれません。

(126)高齢者ではバーチャルでの練習が実際の課題に転移しない!?

March 24, 2018

最近、バーチャル空間でのリハビリの可能性について議論されています。この論文では、バーチャルと実際の練習に関連がないことを示しています。新しい技術を使っていろいろチャレンジすることは重要ですが、それが、現実にどう影響するかを確認する必要があると思います。

(125)痛みを有する介護施設利用者の約20%は痛みの治療を全くされていない!?

March 17, 2018

認知症患者の痛みの治療の不十分な研究は多くみられますが、この報告は約5000人規模大規模な研究です。痛みを有する施設利用者の約20%が何も治療されていなかったそうです。認知症に特化した痛み評価が一般的になる必要性がありそうです。

(124)歩行変動がどの程度増加すると異常?

March 03, 2018

歩行変動の基準値は、決定的とはなっていません。今回の研究では、ストライド時間変動は1.1~2.6%が健常群と神経疾病群をわける参考値となると言っています。低値は1.1%と示していますが、先行研究で示されている健常者のほとんどがこれ以上の値を示します。カットオフで示される値と臨床とのギャップは他の指標でもよく目にします。このギャップをどのように考えるのか。うーん。。。。みなさんどう思われますか?

(123)認知症患者の疼痛治療は睡眠状態を改善する?

February 24, 2018

臨床では夜間に認知症の患者さんが眠れず、ナースステーションにいることがあります。そのような患者さんには、認知症に特化した適切な疼痛評価を行うことや鎮痛薬の使用状況を確認する必要がありそうです。

(122)脳卒中患者に対する新しい下肢運動協調性の評価

February 17, 2018

臨床的な、脳卒中者の下肢の運動協調性評価の研究です。LEMOCOTという、指鼻試験をもとにした評価方法ですが、良好な信頼性と妥当性が得られているようです。我々も下肢のコントロール能力を測定する新しい評価装置を開発しており、装置指標の加齢効果やTUGとの相関、高齢者vs転倒高齢者の装置指標の違いといった結果が得られています。臨床応用できるよう今後も研究を続けていきます。

(121)入院する認知症高齢者の疼痛管理は不十分?

February 11, 2018

先行研究では介護施設での疼痛管理が不十分であると報告が多かったのですが、病院で同様な状態であるという報告です。疼痛評価ツールを使用しないことが疼痛管理を不十分にすると報告しており、リハビリテーションの分野でも痛み行動評価を使用していく必要があると思います。

(120)神経疾病により歩行変動は異なる!?

January 27, 2018

メタアナリシスはエビデンスレベルが高いとされています。しかしながら、一般的なコホート研究とは違うため、結果の解釈が難解なイメージがあります。今回の論文ではフォレストプロットを使用し、評価指標と疾病タイプの違いを視覚的に提供してくれました。なるほど、少し理解できた気がします。

(119)アルツハイマー病の痛みに関連する脳活動とは!?

January 13, 2018

認知症患者の痛みをイメージングによる分析を行った研究です。アルツハイマー病の場合、痛みを小さく示すことが報告されていますが、fMRIでは、認知症のない人と同様の反応を示した報告です。患者さんは痛みを小さく言ってしまうが、実際には健常人と同様の痛みを感じている可能性がありそうです。

(118)持続的に生じた疼痛は認知機能に影響する!?

January 07, 2018

持続的に生じた疼痛は認知機能に影響するという縦断的な研究です。認知症患者に対しては、さらなる認知機能の悪化をもたらさないためにも、慢性疼痛になる前に、適切な疼痛評価によって疼痛管理を行う必要性があることを改めて感じました。

(117)グレーディング練習中の筋活動の適応は若年者と高齢者であまり変わらない!?

December 30, 2017

2017年最後のレビューです。私が行ったグレーディング研究を筋電図的側面から見た研究です。高齢者でも若年者と同様に筋放電の適応によるグレーディングの調整とその学習が行われることが示されています。私がやり残した研究だと思っていましたが、すでにやられていました。

(116)高齢者における視覚障害と転倒

December 16, 2017

視覚障害と転倒との関連について3000名超を対象とした論文です。視覚障害の中でも視力、コントラスト感度、視野の問題や白内障が転倒と関連していると結論付けています。転倒の予防のためには、視覚障害も考慮しておく必要があると思われます。

(115)フィードバック制御とフィードフォワード制御の学習

December 02, 2017

運動学習において、フィードフォワード(FF)制御とフィードバック(FB)制御は重要です。しかし、両者の制御にどのような関係があるかはまだ良く分かっていません。この論文では、実験的にFF制御とFB制御は別々に学習されることを示しています。日常生活において、両者を完全に分けて考えることはできませんが、運動学習を考える上で、どの制御方法を用いているか考慮することは重要なことと思われます。

(114)股関節骨折手術後の疼痛管理はリハビリテーションに良い影響を及ぼす

November 25, 2017

股関節近位部骨折患者さんに対して、積極的な疼痛緩和がFIMを向上させる可能性を示唆した論文です。認知症を合併した骨折患者も同様に、疼痛は日常生活活動に影響する可能性があるため、適切に痛みを評価し、対応していく必要があります。

(113)固有感覚トレーニングは運動学習を向上させる?

November 04, 2017

正確な運動を引き起こす学習は、感覚の鋭敏さも向上させるなど、これまでに運動学習と感覚機能の関連が調査されています。この論文では、目標軌道に対する正確な手の軌道運動課題において、固有感覚情報の提示による練習が、運動学習を向上させると報告しています。本研究の課題のような外部に規定される運動では、受動的な固有感覚練習を組み込むことで、より良い運動学習の向上がみられるようです。

(112)アルツハイマー病患者に対するVASを使用した痛み評価

October 31, 2017

認知症の痛み研究を盛んに行っているScherder先生の論文です。既存の痛みの評価である視覚アナログスケールは、アルツハイマー病患者の場合、健常高齢者と比較して小さく示してしまうようです。やはり痛み行動評価を併用する必要がありそうです。

(111)高齢者の運動イメージ生成能力とは?

October 21, 2017

メンタルクロノメトリーに関して、運動の種類と加齢効果について検討した論文です。心理学でよく使う、overtとcovertという用語。overtは顕在的と訳しましたが、実際に動作を行った時間、covertは心的時間のことです。本論文では、歩行と上肢ポインティング課題は似た結果(心的時間の方が実際の運動時間より少し長い)であり、また、加齢に伴い運動スピードは減少するが、それは運動の正確性とトレードオフとなっていること、さらに、心的時間の精度は加齢により低下し、心的時間の方が短くなることが示されています。

(110)そのバランス評価の結果って偶然?本当?

October 17, 2017

バランス評価の指標であるBerg balance scaleは臨床でよく使われています。しかし、どの程度の変化があったら、良くなった!悪くなった!と言えるのでしょうか?指標の変化を誤差か真の値の変化か検討する際、最小可検変化量(MDC)が使用されます。

今回の報告では、BBS合計点に4~7点の変化があった場合、誤差ではない変化であるとしています。臨床場面でも、「この値の変化は本当に症例の変化なの?」って思うことありますよね。様々な指標で同じように検討されていますので、是非チェックしてみてください。

(109)高学歴の人ほど心筋梗塞や脳卒中を起こしにくい!?

October 07, 2017

著者らは、45歳から85歳までに循環器疾患を発症するリスクと学歴との関係を調査し、最もリスクが低かったのは最終学歴が大学院の女性とのことでした。

(108)不安は視覚情報処理を介して姿勢制御に影響を及ぼす

September 30, 2017

不安と姿勢制御の関連を示した文献の第3弾です。不安が姿勢制御に影響を与える研究はいくつかみられますが、本研究では、不安は視覚情報処理を介して姿勢制御に影響を及ぼすと結論付けています。高齢者の姿勢制御は視覚に依存しているとした先行研究を考慮すると、姿勢制御の安定には、症例の訴える不安も対象にする必要がありそうです。

(107)チョコレートを頻繁に食べている人の認知能力は高い

September 23, 2017

カカオフラバノールによる血流増加が良い影響か?

チョコレートの摂取頻度が高いほど認知機能のスコアも高いとのことです。

(106)看護師は、認知症の痛みを「快適さ」と「QOL」に着目して評価している!

September 17, 2017

看護師は、認知症の痛みを「快適さ」と「QOL」に着目し、評価と管理を行っていることを明らかにした論文です。痛みは不快ですが、痛みを評価しているのか、不快を評価しているのかの判断は今後の課題になりそうです。

(105)不安を予期した際には、すでに姿勢制御は不安定になる

September 12, 2017

不安と姿勢制御の関連を調査した文献の第2弾です。不安を予期した際には、すでに姿勢制御は不安定になると結論付けています。立位に不安を感じている対象者は、立位を行う前に不安を取り除く配慮をすることが大切なのかもしれません。

(104)腰痛に対する画像検査は治療に役に立たない!?

September 08, 2017

重篤な基礎疾患のない、いわゆる非特異的腰痛の患者に画像検査を行っても、治療結果は変わらないということを示したレビューです。画像所見では異常がないのに、腰痛を訴えられる方は、多くいらっしゃる印象です。逆に異常所見があっても、腰痛がない方もいらっしゃいます。画像を気にし過ぎることは、患者様にとってよくないことかもしれません。

(103)膝伸展出力グレーディングの年齢差はない?

September 02, 2017

感覚による段階付けを意味するグレーディング研究です。平井が2007年に行った研究とほぼ同じ実験パラダイムを使用した唯一の国外の研究です。我々の結果と同じく年齢差はなかったので、膝伸展のグレーディング能力は年齢差がないようです。グレーディングは協調性に位置付けられていますが、臨床的な意義については十分明らかになっていません。研究分野としてはいろんな可能性があります!

(102)歩行の安定性には立脚後期がヒントに!?

August 29, 2017

歩行変動がなぜ大きくなるのかと検討した研究は実は多くありません。この研究は、歩行変動とCoPの変動に着目し、立脚期のどの相が転倒と関連しているのか注目した興味深い研究です。個人的に臨床場面で立脚後期の変動が気になる症例が多い印象をもっていましたが、それを裏付けるような結果となっています。臨床と研究が結びついて行くことは非常に楽しいですね。自分の研究でも早く臨床に繋がるような検討をしていきたいです!

(101)下肢の運動調整能力を定量的に評価する

August 26, 2017

軌道追跡課題は、運動調整能力を定量化するために、健常者や運動障害者によく用いられています。この文献では、レッグプレスを用いた下肢の軌道追跡課題による運動調整能力の評価を提案してくれています。臨床で実用的に使えれば、大いに役立つ評価ツールの一つになると思われます。

(100)気分の状態と不安は健常対象者におけるバランスコントロール維持の能力に影響を及ぼす

August 22, 2017

不安と姿勢制御の関連を示した論文です。不安は平行機能において感覚系や運動系などの様々な要因に関与しているようです。姿勢制御を評価するうえでは、対象者の不安も把握しておく必要がありそうです。

(99)貴重!歩行の安定性変化を縦断的に観察した研究

August 19, 2017

歩行変動を縦断的に観察した研究は非常に少なく、貴重なものです。今回の研究では、歩行能力の改善を示す変数がある一方、変動係数では時間・空間変数により違いがみられたことを報告しています。臨床においても、変動係数は歩行速度や補助具などにより大きく変化する印象をもっています。歩行変動を観察する際に歩行変動に影響を及ぼすであろう、歩行条件や変数を意識することの重要性を感じることができました。

(98)高齢者の運動学習における神経適応の仕方は若年者と異なる!?

August 14, 2017

出力調整課題の練習において、若年者は動筋と拮抗筋の両方で調整し適応していたが、高齢者では動筋のみを調整し適応させていたことが示されました。私が以前に行った歩行速度のグレーディング研究でも、若年者は空間、時間パラメータの両方で調整し、高齢者は空間パラメータのみで調整していることが明らかになっています。高齢者はより簡単な方法で課題に適応するようですね。>>>歩行速度のグレーディング研究

(97)初日の練習効果をみれば、トレーニングによってどの程度の学習を示すかが予測できる!?

August 10, 2017

認知症のない高齢者を対象に、新規上肢課題の初日の練習効果がスキルの長期保持の結果を予測することを示した論文です。筆者は、対象者が長期のトレーニングで将来どの程度改善を示すかを見通すために有用な研究であると述べています。リハビリテーションにおいてゴール設定をする際の価値ある情報になるかもしれません。

(96)転倒高齢者における膝伸展力の安定性、出力正確性と移動能力との関連

August 05, 2017

転倒高齢者を対象とした、運動の正確性と移動能力の関連を見た研究です。遠心性収縮での最大出力の50%を正確に出力する能力が6分間歩行やTUGなどの移動能力と関連するとのことです。グレーディング研究の意義が高まってきているようです。

(95)コーヒーをたくさん飲む人の死亡リスクは低い

August 01, 2017

欧州45万人のコーヒー摂取頻度を調査し16年間追跡.女性では例外も….

(94)ヒトの姿勢制御における加齢変化:sensory organization tests

July 17, 2017

視覚、前庭覚、固有感覚が姿勢制御に与える影響の加齢変化を調査しています。発表された年は少し古いですが、多くの年齢層を調査した重要な論文です。若年者は固有感覚に依存しており、高齢者は視覚に依存していると結論付けています。

 

年齢によって姿勢制御に対する評価や介入の方略を変更していく必要がありそうです。

(93)筋力測定に対する運動学習効果の影響を避けるためには!?

May 27, 2017

膝OAなどに筋力測定を行う際には通常複数回のテストを実施します。本論文では2分の間隔を空けてテストを行うと運動学習効果により値が向上することが明らかになりました。

筋力テストを行う際にも「運動学習」の影響に注意する必要がありますね。そのためには、運動学習の知識を身につけなければいけません!

(92)転倒高齢者は進行中の正確な実行よりも先のステップ行動計画を優先させる!?

April 14, 2017

歩行課題中の視線の移り変わりとステップの正確性について、転倒高齢者と非転倒高齢者、若年者でストラテジーの違いを示しています。目標ステップが複数ある課題の場合、転倒高齢者では実行中の目標ステップよりもその先の目標ステップに目がいってしまい、実行中のステップの正確性は低下するという結果が得られています。

歩行中、足元を注視せずステップの精度が低下すことは、転倒の要因になりえます。

(91)運動学習に有効な測定項目とパラメータとは?

April 01, 2017

今年度最初のレビューです。

自然治癒を除く運動機能の改善には運動学習が生じなければなりません。運動学習の結果をどう表現すべきでしょうか?実際に、学習を表現する最適なパラメータと測定項目を使用している論文はほとんどないということです。やはり臨床現場でおこなう研究は、なかなか難しいということでしょうか?臨床家の奮闘が必要ですね!

(90)観察的な痛み評価ツールは利用しやすい!

March 25, 2017

観察式の痛み評価であるThe Bolton Pain Assessment Toolの開発に関する論文です。98%の利用者が使用しやすいと感じていたようです。今後信頼性と妥当性を確認し、公表していくそうです。

(89)高齢者の転倒に関するバランスパフォーマンスは片脚立位とロンベルグテストが役立つ

March 21, 2017

高齢者の転倒に関するバランスパフォーマンスは片脚立位とロンベルグテストが役立つと結論付けています。他にも、TUGや片脚立位時間の転倒と非転倒とのカットオフポイントが記載されています。いずれも臨床で利用でき、実用性の高い評価であると思われます。

(88)本邦でもありました!骨折後の再骨折リスクはやっぱり高い!

March 14, 2017

86回のレビューでは、本邦の検討があまり行われていないと書きましたが、、、ありました!本邦転倒疫学のオーソリティーである萩野先生の論文です。やはり骨折後の再骨折リスクは高いようです。また、大腿骨近位部骨折の罹患率が世界の各地域で違うとintroductionでレビューしてくださっています。なるほど知らなかったです。興味分野のintroductionは色んな知見に触れるよい機会と改めて感じました。

(87)ADとその他認知症患者の痛みの認識と管理:システマティックレビュー

March 07, 2017

認知症の痛み関する研究は、海外ではかなり増加しており、システマティックレビューの論文を見かけるようになりました。認知症の痛みの評価方法はいくつかありますが、その評価を使用した研究はまだまだ少ないようです。臨床や研究で、認知症患者に特化した疼痛評価を使用し、適切な疼痛管理とこの分野の研究を進めていく必要性を感じました。

(86)骨折後はやっぱり骨折しやすい!?

February 10, 2017

大腿骨近位部骨折術後患者の再骨折リスクに興味を持ち調べてみました。回復期を退院する時、再転倒・再骨折の不安を抱えている方が多いと思いますが、本邦ではN数が少なかったりと意外に検討されていません。結果は予想通り、骨折後の再骨折リスクが高くなっています。このような予想できる結果でも、エビデンスをもった知識として持っておきたいと感じました。本研究で検討されていない移動能力との関連も気になるところです。

(85)ゲームを利用した運動は効果的?

February 03, 2017

ウチにもWiiFitがあり、結構な運動になると思っていましたが、本研究は、ゲームを使った運動の効果について検討した論文です。ゲームと運動の融合をエクサゲームと名付けて、健常高齢者を対象とした、検討をしています。結果、エクサゲームはバランストレーニングと同様の効果が認められたとしています。

(84)納豆をよく食べる人は循環器疾患の死亡リスクが低い

January 21, 2017

納豆を定期的に食べる人は,ほとんど食べない人に比べて循環器疾患で死亡するリスクが25%低いことが,約3万人の日本人を16年間追跡した研究で明らかになりました.

(83)感覚運動機能は高齢者で低下する

January 17, 2017

高齢者と若年者を対象に、上肢末梢運動を用いて正弦波の追跡課題と位置変更課題を実施し、加齢による視覚運動協調性と固有感覚の鋭敏さの変化について調査した論文です。

結果では若年者グループと比較し高齢者グループで有意にパフォーマンスの低下がみられ、年齢とともに感覚運動機能が衰えると結論づけています。

(82)コーヒー派と緑茶派、脳腫瘍のリスクが低いのは?

January 10, 2017

10万人以上の日本人を対象に,コーヒー,緑茶の摂取量と脳腫瘍発症の関係を調べた研究です.1日3杯以上コーヒーを飲む習慣がある人は,週に4日以下しか飲まない人と比較して脳腫瘍のリスクが減少していることが明らかになりました.

(81)動画付き論文!高齢者のリアルな転倒調査

January 02, 2017

病院や高齢者施設において、転倒事故は頻繁に発生するインシデントの一つです。しかし、実際の転倒発生を直接観察する機会は少なく、対象者本人や周囲のスタッフによる主観的状況報告を受けることが多いのが現状かと思います。そういった背景の中で、今回の研究報告はビデオを用いて直接的に観察した大変興味深いものです。Link先では数例の転倒を動画で見る事ができます。貴重な資料になると思います、是非ご覧になってください。

(80)アルツハイマー病患者は、歩行開始時に注目!

December 18, 2016

パーキンソン病や転倒経験などで歩行開始時の転倒は増加することをレビューしてきましたが、アルツハイマー病患者でも増加する可能性があるようです。歩行開始時の計測は歩行中に比し、短距離で計測が行えるため臨床場面での応用性が高いと考えます。継続して調査し、今後の研究につなげていきたいです。Link先はAbstractのみ参照できます。

(79)運動スキルはどのように学習されるか?

November 26, 2016

高い水準のスキルの到達と失われたスキルの回復は運動学習に依存しており、運動スキル学習を研究することは重要です。

この論文では運動スキル学習における課題の成功と運動の質の関連について報告しており、運動スキル学習にどのような性質があるのか知ることができます。

(78)転倒高齢者は歩行の1歩目がばらばら!?

November 22, 2016

日常生活で頻繁に行う歩行開始時のパフォーマンスにおいて、転倒高齢者と非転倒高齢者および若年成人で違いが認められることを示したスタディーです。変動というパラメータは、パフォーマンスの安定性を示すパラメータであり、歩行中、歩行開始時ともに転倒と強い関連がみられています。Link先はAbstractのみ参照できます。

(77)パーキンソン病患者の1歩目ばらばら!?

November 07, 2016

自宅での生活は短距離の歩行を繰り返して生活しています。つまり、日常生活では歩行開始の動作を繰り返し行なっており、そのパフォーマンスを理解するとは重要です。今回は転倒と関連が強いパラメータである変動と、すくみ足など歩行開始時に特有の症状がみられるパーキンソン病患者との関連についてレビューしました。FulltextがLink先で入手できます。

(76)テレビの見過ぎは死を招く?!

November 05, 2016

テレビの前に座っている時間が長くなると肺,塞栓症(エコノミークラス症候群)で死亡するリスクが上昇する.視聴時間が2時間長くなるごとに死亡リスクは1.4倍になる.

これは我が国における研究の結果.大阪大学の先生の論文.

(75)高齢者における転倒の分類、決定および予防

November 03, 2016

この論文では、複数回の転倒歴のある対象者は専門家による生活習慣の改善の勧告を受け入れていなかったと結論付けています。

 

転倒を積極的に予防するために、専門職の関わりも重要であると思われます。

(74)リハビリテーションを行う脳卒中の入院患者への参加のレベルと予測因子

November 01, 2016

リハビリテーションへの参加を予測する因子として、疲労が挙げられていました。確かに患者さんは疲労を訴え、リハビリテーションを積極的に行っていただけないことを経験します。この研究では疲労の評価方法が記載されており、詳細を知る必要がありそうです。

(73)身体的なリハビリテーションの文献における、患者のモチベーションの概念への批判的なレビュー

October 29, 2016

モチベーションとは、まだ臨床家の中でも提議が曖昧な部分があるようです。

そのモチベーションを分類すると大きく3つになり、性格、環境、その両方から影響されて生じるものだそうです。

どこへのアプローチが良いのか検討されているようです。

(72)亜急性の入院患者における主観的幸福と、治療への取り組みに関する、人生目標の概念に焦点を当てた目標設定の短期的効果

October 26, 2016

臨床では目標を設定し、患者さんとリハビリテーションを行います。

 

しかし、この論文では、目標を設定するだけでなく、人生の目標を加えた方がリハビリテーションの参加意欲が向上するということを明らかにしています。

 

人生の目標を評価方法も原著には載っていました。

(71)股骨折後の患者におけるリハ中の患者の参加および身体活動や機能的結果の予後

October 24, 2016

加速度計による患者の活動量とリハビリテーションへの参加意欲を比較した論文です。

 

リハビリテーション意欲が高い患者の方が、活動量や身体機能の改善率が良好であったようです。

(70)脳卒中後のリハビリテーションへの参加の認知面と情動面の予測因子

October 23, 2016

リハビリテーションの参加は遂行機能や抑うつと相関することを示した論文です。リハビリテーションに参加をしてもらうために工夫することも、セラピストの技能の一つと感じました。

(69)股関節骨折後のアパシー

October 22, 2016

アパシーは脳卒中や認知症だけでなく、股関節骨折患者にもみられると報告した論文です。骨折患者の場合は、うつ症状の可能性もあるため、詳細な評価が必要であると思われます。

(68)患者のモチベーションの概念:脳卒中専門家の考えによる質的な分析

October 08, 2016

モチベーションという言葉は、臨床的には良く使用される言葉ではありますが、その基準が曖昧であると示した論文です。患者のモチベーションについてより深く考えるきっかけとなる報告だと思いました。

(67)リハビリテーションへの参加した結果の影響

October 06, 2016

近年、リハビリテーションの参加意欲の評価にPittsburgh Rehabilitation Participation Scale(PRPS)が使用される研究をよく見かけるようになりました。今回レビューでは記載されていませんが、この評価は入院時の2週間と退院前の1週間に評価をします。この研究で、参加が乏しいと判断されたのは、PRPSが6点中4点と評価された日が25%に満たない者です。このような参加が乏しい患者は移動能力の回復の妨げになるようです。

(66)脳卒中患者のリハビリテーションに対する意欲

September 30, 2016

リハビリテーションの意欲が高い患者と低い患者の質的な分析を行った論文です。リハビリテーションの意欲には、セラピストや介護者の過保護や矛盾した情報提供がネガティブに働くそうです。注意しなければなりません。

(65)肥満の人は脳の老化が早い!

September 27, 2016

肥満の人は,標準体重の人と比較し脳が10歳分老化していることが,Cambridge大学のLisa Ronanらの研究によって明らかとなった.

(64)パーキンソン病患者の知覚のリハビリテーションと体幹姿勢のアライメント

September 25, 2016

知覚に対してアプローチを行うことが体幹の姿勢アライメントの改善の有効性を示した論文です。今回の知覚のトレーニングでは、歩行の指標や立位バランスには影響を及ばしておらず、姿勢アライメントに改善がみられたようです。具体的なトレーニング方法を知るには原著を読む必要があると思います。

(63)骨粗鬆症の高齢者におけるバランス制御

September 17, 2016

骨粗鬆症の高齢者の筋の状態や脊柱後弯とバランス制御の関連に関するレビュー文献です。

85にもおよぶ文献を引用し、転倒や転倒予防トレーニング効果に関してもレビューしています。

その割にページ数が少なく、フリーで全文を読むことができますので興味のある方はURLから原文を入手してください。

(62)高齢者におけるバランスのスクリーニングテストのスコアは移動性と関連するのか?

August 28, 2016

静的、動的の立位バランスと歩行などの移動性のパフォーマンスには一定の関連がみられたとしています。

 

移動性のパフォーマンスの改善には、静的、動的バランスの評価と介入が必要になることが示唆されています。

(61)大腿骨近位部骨折患者の歩行評価における領域とその重要変数

August 27, 2016

大腿骨近位部骨折患者の歩行変化を検討した研究はまだ少なく、歩行速度以外に重要な歩行変数が提示されていません。今回のスタディーは、因子分析を用いて近位部骨折患者の4つの歩行領域とそれぞれを観察する重要な歩行変数を提示してくれました。領域の1つにはVariability(変動)と命名した領域があり、臨床における歩行評価におけるパラメータを示唆してくれるものになっています。FulltextがLink先で入手できます。

(60)ジャンクフードの食べ過ぎで脳が萎縮する!?

August 26, 2016

海馬の発育に影響を与えるのは教育,収入でなく,食事パターンの差 .

 健康的な食事とはいえないと分かっていても,つい手が伸びてしまうファストフード.

こうした食事が脳にも悪影響を与えるという研究が発表され,話題となっている.

(59)アパシーと前頭前野皮質-大脳基底核回路の機能的構造

August 23, 2016

アパシーは3種類のタイプに分類されるという仮説を提唱した論文です。多くの論文に引用されています。それぞれのタイプによりセラピストの対応が変化してくると思います。まずはアプローチの前に患者の状態を知る重要性を感じた論文です。

(58)75歳以上の高齢女性においてバランス、歩行パフォーマンスと筋力は関連するのか?

August 22, 2016

静かに立つ、揺れる床で立つ、片足で立つ、歩く、どれもバランスとしてひとくくりにされます。この中で高齢者の下肢筋力は歩行のみと関連していると論文は結論付けています。

 

臨床ではバランスに問題があるという表現をしてしまいますが、どのようなバランスに問題があるかによって、介入する内容は変化すると思われます。

(57)アルツハイマー病のアパシーの3つの側面は脳の異なる領域と関連する

August 20, 2016

アルツハイマー病のアパシーの3つの側面と脳の損傷領域の関連を調べた文献です。情動の鈍化や思考の欠如などのアパシーの側面により脳の損傷領域が異なることが示されました。内包など錐体路の障害が示されたことが興味深いところです。

(56)BMIと死亡リスクの関係

August 19, 2016

BMIと死亡の関係を調べた研究はこれまでいくつも行われてきましたが,結果にはばらつきがありました.しかし今回,そうした研究のデータを基にノルウェーの研究者たちが,これぞ決定版という分析結果を論文発表しました.この論文はPubmed で検索すれば,Free で読むことができます.

(55)恐怖回避思考が強い腰痛患者は慢性化する:システマティックレビュー

August 13, 2016

発症6か月以内の腰痛症例で恐怖回避思考が強い場合、機能障害や慢性疼痛が生じる可能性が高いことをシステマティックレビューから明らかにしています。

 

発症早期からの心理面に対する評価、介入は腰痛症例の予後を考えるうえで重要な要素となりそうです。

(54)痛みセルフエフィカシーは抑うつ症状と痛みの重症度との関係に介在する

August 09, 2016

慢性腰痛の痛みと抑うつ症状と関連があり、そこには痛みセルフエフィカシーが介在しているという仮説を実証した論文です。

 

慢性疼痛の症例の痛みマネジメントとリハビリテーションプログラムにおいて心理的側面の評価、介入の必要性が示唆されています。

(53)歩隔の変動は高齢者と若年者を判別できる?

August 07, 2016

歩行変動の加齢変化を調査する目的でレビューしました。このスタディーは157の論文に引用され、加齢変化があったとされている事が多い論文です。しかし、対象数が少ない、統計処理において独立t検定で有意差がみられない(Abstractには記載されていません)データに判別分析を使用する。など、いくつか研究限界があると感じており論文タイトルのような結果を言うには無理がある結果であると考えています。

(52)話しかけると立ち止まることは高齢者の転倒を予測する

August 04, 2016

高齢者の転倒やdual task論文で非常に多く引用されている論文です。

 

臨床でも歩行訓練中に話しかけると立ち止まる方を多く経験します。

 

その方は転倒リスクが高いということ証明した論文です。

(51)複数の心理的要因は変形性膝関節症を有した地域在住症例のサンプルで低い機能と関係する

August 02, 2016

膝OA症例の身体能力の低下には痛みセルフエフィカシーが関連していることを明らかにした論文です。

 

日々の小さな失敗や消極的な予測の積み重ねが長期的には能力障害につながると示唆されており、心理的側面に対する評価の必要性がありそうです。

(50)米国の白人成人の生活習慣とガン発生率・死亡率との関係

July 31, 2016

喫煙や飲酒,肥満,運動不足などの生活要因は,癌の発症に重要な役割を果たすことが知られている.

 

では,癌リスクを下げる方向にライフスタイルを変えれば,癌になるリスクや癌で死亡するリスクは,どのくらい減らすことができるのだろうか.

(49)歩行変動は信頼できる?連続歩行における空間、時間的歩行変動パラメータの検討

July 30, 2016

歩行変動信頼性についてのスタディーです。著者のKönig氏は様々な評価方法の信頼性について検討をされている研究者です。結論として連続歩行において50ストライド(サイクル)の計測を推奨しています。10サイクルずつ増加して信頼性を検討するというわかりやすい方法で、今後の参考にしたいと思います。原著はshort communicationの形で複写を依頼しなければ入手できません。

ジャガイモ料理を頻繁に食べると高血圧リスクが上昇する

July 29, 2016

ベイクド/ボイルド/マッシュポテトの摂取が頻繁な人ほど,高血圧になりやすく、週4回以上食べる人はより高血圧になりやすいようです。

​なんとポテトチップスは、高血圧に関係ないそうです!

筋骨格系の慢性疼痛を有する症例におけるセルフエフィカシーの重要な決定要因

July 26, 2016

“痛みがあってもある事柄ができる自信”である痛みセルフエフィカシーが低下している症例は、抑うつ症状を有しており、仕事を退職している傾向がみられることを明らかにした文献です。

慢性疼痛を有している症例に対しては、心理面も含めた多面的な評価が必要となってくると思われます。

若年者と高齢者における空間・時間的歩行変動の信頼性と最小検知変化量

July 25, 2016

先回に続き、歩行変動信頼性についてのスタディーです。今回は信頼性をICCに加え、絶対信頼性のLOAやSEM、MDCを使用し検討しています。級内側関係数ICCは、被験者間のばらつき程度により結果が変化するといわれており絶対信頼性を検討した今回の論文をレビューすることにしました。結論としてこのプロトコールにおける歩行変動の信頼性は低いと言わざるをえないのではと考えています。

膝OAを有する成人における理学的検査所見および、理学的検査所見と運動機能との関連

July 23, 2016

驚くべきことに、膝OAの理学的検査と、運動機能およびセルフレポートとの関連はいままで明らかにされていなかったようです。本論文は理学的検査と運動機能との有意な関連を示し、セルフレポートとは関連しないことを明らかにしています。

異なる肩の問題における後方関節包のタイトネス存在と影響

July 15, 2016

記事の詳細を入力してください。 伝えたいメッセージや注目すべきポイントを書いて、 訪問者の興味をつかみましょう。病理的に異なる肩の問題における、後方関節包の硬さの影響を検討した論文です。側臥位での水平内転と手を後ろに回すテスト(HBB)で後方関節包の硬さをみています。結果的に、疾患に関わらず、後方関節包の硬さが存在していることが示されましたが、可動域のみで検討することは限界があるように思います。

地域在住高齢者における歩行変動の信頼性と妥当性

July 02, 2016

歩行変動の権威であるHausdorff氏は自身の総説の中で、歩行変動計測における必要stride数は未だ決定的になっていないと述べており、研究毎で計測条件に違いがみられています。

 

そのため、歩行変動計測の信頼性を調査する目的で今回の論文をReviewしました。

 

研究限界として、歩行変動を変動係数でなく標準偏差で計算している点、strideではなくstepで計測している点に注意が必要です。

 

URL先でfulltextの原著を見ることが出来ます。

膝OAに対するPTにより提供される痛みコーピング技能トレーニングと運動:RCT

June 25, 2016

膝OA症例に対するPTが主導する痛みへの対処法トレーニング(コーピングトレーニング)と運動の効果を縦断的に調査した論文です。費用対効果は示されませんでしたが、運動だけではなく、心理的側面への介入を加えることが運動機能を向上させる効果が示されています。痛みへの対処(コーピング)という手法は、臨床でも有用なツールだと思います。

関節炎(痛み)を有している人は活動性が低い

June 22, 2016

関節炎(痛み)を有している人々は活動性が低いことを明らかにした論文です。フィットネス施設の利用や医療従事者による痛みのマネジメントは活動性を向上させることができる重要な鍵である可能性が示唆されます。

荷重時の痛みは下肢の能力障害を予測す

June 15, 2016

荷重時の痛みは下肢の能力障害を予測する因子の一つであるということを、2,000名を超える大規模データから明らかにした論文です。痛みを放置しておくと能力障害を招く可能性が高くなると思われます。

骨粗しょう症を有する地域在住女性における膝伸展力は静的と動的バランスのみでなく生活の質の有意な決定要素である

June 03, 2016

骨粗しょう症を有する高齢女性の膝伸展筋力とバランス能力およびQOLとの関連を明らかにした論文です。筋力とバランスの関係を安易に議論することはできませんが、特定の対象に対しては筋力の改善によるバランスへの効果が期待できそうです。

便秘の人は循環器疾患で死亡するリスクが高い!

May 31, 2016

記事の詳細を入力してください。 伝えたいメッセージや注目すべきポイントを書いて、 訪問者の興味をつかみましょう。

ストライド時間変動は高齢者の転倒を予測する

May 24, 2016

歩行変動と転倒の関連においてもっとも著名なスタディーです。歩行変動が将来の転倒を予測し、その他の身体機能、認知機能を評価したパラメーターでは予測できなかったと報告しています。著者のHausdorff氏は、歩行変動のオーソリティーとして様々なスタディーや総論を書かれていますので、興味がある方は是非ご覧になってください。原著はリンク先からFulltextを入手することができます。

虚弱高齢者に対するグループエクササイズプログラムの効果

May 21, 2016

グループエクササイズは転倒リスクのある高齢者の身体機能と日常生活に関する自己報告を改善させる効果があることを明らかにした論文です。活動的な高齢者は、そうでない者と比べるとバランス能力や活動に関するセルフエフィカシーが高いことが示唆されています。

健常高齢者の歩行パラメータのばらつきは若年者とほぼ同等

May 16, 2016

加齢により歩行変動が変化するかを検討した研究です。多くの歩行変動論文で引用されており、高齢者と若年者で歩行パラメータに差が見られたと引用されているケースもある論文です。しかし、原著を読んでみると高齢者と若年者の歩行パラメータで有意な差はみられず少し傾向がみられた程度と記してありました。初期に歩行変動に注目をした事からkey文献ではありますが、原著を読む重要性を感じた論文でした。

台湾のアパシー評価スケール

May 10, 2016

Apathy Evaluation Scaleの台湾版作成の報告です。様々な国で使用されている評価であり、日本語版は、介護者版のみ作成されています。また、Apathy Evaluation Scaleの短縮版であるやる気スコアが日本では一般的に使用されていますが、Apathy Evaluation Scaleの日本語版はないようです。

認知症患者のアパシー(無関心さ)を評価する!

May 08, 2016

認知症患者に対するアパシーを評価する方法についての報告です。どの程度の認知機能が低下している患者を対象にしたのか不明ですが、原著を読み臨床に活かしていきたいと感じました。

臨床で可能なバランス評価は重心動揺の一部を反映しているに過ぎない?

May 04, 2016

患者のバランス能力を捉えるためには、臨床的なバランス評価と重心動揺計による評価を組み合わせることが有効であると結論付けています。重心動揺計は高価な機器のため、いかに臨床で簡便に使用できるようにするのかが、今後の課題となりそうです。

遊脚時間のばらつきは転倒と関連する

May 03, 2016

高齢者の歩行時パラメータが将来の転倒および転倒恐怖感と、どのように関連しているか調査した研究です。この研究以前、転倒予測では歩幅や歩行周期の平均値を使用することが多くみられましたが、この研究で歩行パラメータの変動が転倒予測に有用であること示されました。その後の歩行変動研究が加速する起点となったkey文献です。

アルツハイマー病患者はどのような運動課題で学習と転移をするか?

April 30, 2016

アルツハイマー病患者には、多様な課題ではなく、定常的な運動を学習し転移する能力は保たれていることを示した文献です。臨床で課題設定を行う際に参考になると思いました。

変形性膝関節症の痛みへの「休息」という対処法は36週後の能力障害を悪化させる

April 30, 2016

コーピングとは、ある事柄への対処の仕方という意味です。この論文では変形性膝関節症の痛みへの対処として、「休む」「痛いから動かない」というのは36週後の能力障害を悪化させることが明らかにされています。

バランスの自信の心理的指標:実際と知覚の能力との関連

April 23, 2016

バランスの自信の心理的指標(FESやABCスケール)、2択の簡単な質問、運動能力の関連を調査した論文です。屋外歩行するために助けが必要と感じると知覚している対象者は運動機能が低い傾向にあるようです。全文フリーでダウンロードできます。

脳卒中後の心理社会機能と生活満足感

April 18, 2016

生活の満足感はうつや機能障害、余暇活動と関連するという報告です。うつ状態の患者は臨床上多くみられ、患者さんがやる気が出るようなリハビリテーション課題の設定や、退院後の余暇活動について考える必要性を感じました。

転倒恐怖感の尺度としての転倒効力感

April 16, 2016

転倒効力感尺度(Falls Efficacy Scale)のTinettiによる原著です。FESは現在までに多くの報告がありますが、臨床や研究でFESを使用する際には押さえておきたい論文です。

姿勢不安定性の評価における重心動揺計のフォースプレートの使用

April 12, 2016

臨床や実験で広く普及している重心動揺計のパラメーターの問題に言及した論文です。動揺のベクトルが新たな基準として望ましいと結論付けています。

アルツハイマー病の病態失認と手続き学習

April 02, 2016

アルツハイマー病患者の潜在学習が病態失認により悪化する可能性を示した文献です。病態失認を示す患者は臨床的にも学習しにくい印象があり、それを支持する報告と感じました。

運動ノイズの操作に対する神経制御の適応

March 31, 2016

運動を正確に行うということは非常に難しいことです。特に高齢者になると動作筋と拮抗筋の同時収縮が増加しパフォーマンスは低下しますが、なぜでしょうか?その問いへの解答の一つが「運動ノイズ」。ノイズとはつまり雑音。しかし、この雑音は運動制御に重要な役割を果たしていると言われています。高齢者の運動パフォーマンスの低下に関連した同時収縮という問題が、「運動ノイズ」とどう関連しているかを示した論文です。pdfで原著が読めますので興味のある方は、全文読んでみてください。

認知症の手の運動活動、認知面、気分、休息活動リズム:クラスターランダム比較試験

March 12, 2016

近年、歩行などの運動と認知機能の関連する報告が多くみられます。この論文は虚弱な認知症高齢者に対して手の運動が認知機能には影響しないが、気分に良い影響を及ぼすという論文です。不穏などのBPSDの症状を持つ患者への効果には疑問が残ります。

認知症とうつ病患者の宣言的な学習と手続き的な学習の間の乖離

March 08, 2016

認知症患者とうつ病患者、それぞれの組み合わせた群間の宣言的記憶と手続き記憶を比較を行った報告です。学習パターンや残存する記憶が異なっており、課題を提示する際のヒントになる論文です。

虚弱高齢者における身体的な健康の決定:自己効力感の重要性

March 05, 2016

高齢者において転倒自己効力感は生活の質の低下を招く要因の一つであることを示した論文です。パフォーマンスによる評価と自己効力感のようなセルフレポートによる評価の両面を捉えることがQOLを高めるうえで重要であると思われます。

加齢による不安定性を有した高齢者においてshort FES-Iテストの得点と客観的なバランスの評価は関連するのか?

February 23, 2016

Short fall efficacy scale ( short FES ) は高齢者の転倒恐怖感のみでなく、バランス能力や複数回の転倒と関連していることを明らかにした論文です。まだ議論の余地はありますが、転倒恐怖感とバランスや転倒はある程度の関連がありそうです。

高齢者におけるバランス障害:時間の経過によって不安定性は増加するのか?

February 08, 2016

加齢が進むことで、高齢者のバランス能力がより低下していくことを示した論文です。平均寿命や健康寿命が増加しているため、高齢者の中でも若年と高齢を分けて考えていく必要がありそうです。

認知症患者の痛みまたは快適さの欠如を評価するためのツール:内容分析

February 07, 2016

痛みの観察評価は痛みによる反応なのか、不快による反応なのか区別することが困難なことが多いですが、この論文はそれを区別する必要性を示す内容です。また、認知症患者の不快を評価するツールが様々あることを知ることができた論文です。

改訂版GES:高齢者における心理測度の特徴

February 04, 2016

地域在住高齢者を対象とした歩行能力の自信に関する測度GESの改訂版の信頼性と妥当性を検討し論文です。日本人に対しては国立長寿医療研究センターの牧迫先生が検討しています。

客観的および主観的な評価は多発性硬化症におけるバランスの異なる側面を反映する

January 25, 2016

多発性硬化症を有した症例の本人の主観的なバランス評価と機器を用いた客観的評価には関連がみられることを明らかにした論文です。多発性硬化症に限らず、主観的と客観的評価の両方の評価によってバランスの問題を包括的にとらえていく必要があると思われます。

認知症の地域在住高齢者の痛み: NHATSの結果

January 19, 2016

地域在住の認知症高齢者は、認知的に健常な高齢者よりも痛みを有している方が多いという内容の論文です。入院患者だけでなく、地域に対しても何かできること考えるきっかけとなる論文です。

軽度認知障害を有した地域在住高齢女性の転倒リスクは増加する

January 13, 2016

認知機能の低下がみられる高齢女性は、そうでない群と比較すると、認知機能や実行機能のみでなく、身体動揺の増加も見られることを示した文献です。タイトルには転倒リスク(falling of risk)の文字がありますが、研究限界にあるように実際の転倒発生率は調査していないことに注意する必要があります。

65歳以上の施設に入所していない健常者の重心動揺と再転倒のリスク

January 03, 2016

視覚、固有感覚、前庭などの知覚入力が一致しない条件で立位保持を繰り返し行った場合、転倒を繰り返す高齢者は姿勢の適応が見られなかったと報告しています。

認知機能低下を伴わない高齢者における認知機能改善に対する有酸素運動

January 02, 2016

一般的に有酸素運動は認知症予防に役に立つと思われていますが、コクランスステマティックレビューは、認知機能が正常な高齢者において、有酸素運動能力向上が認知機能向上に役に立つという根拠がないことを明らかにしています。

健常人と認知症患者の表情から痛みを解読することの年齢の違い

December 30, 2015

高齢者に表情認知能力が低下していると言われていますが、この研究は、痛みの表情認知は必ずしもそのような結果になるわけではく、高齢介護者にも痛みの表情認知ができる可能性を示しています。

MCIの歩行機能障害

December 16, 2015

MCI患者と健常高齢者を歩行機能評価で比較した論文です。定量的歩行評価で健常高齢者に比しMCI患者で悪化し、またMCIサブタイプにより歩行の障害要因が変化していると指摘しています。先日のNHKスペシャル認知症予防の回で登場したアインシュタイン医科大学のVerghese先生の論文です。

地域在住高齢女性のバランス障害の訴えと姿勢制御の障害は関連しているのか?重心動揺を使用した横断研究

December 15, 2015

バランス障害の訴えのある高齢者は、訴えのない高齢者よりも姿勢制御のパフォーマンスが低下していることを明らかにした論文です。症例の主観的な訴えであっても評価の一つになる可能性がありそうです。

認知症と肺炎を患った介護施設居住者の不快感、痛み、呼吸困難に関する前向き観察

December 13, 2015

認知症患者を評価する際には、観察によるデータを収集する必要性を改めて感じました。観察によって患者の苦痛を評価できることをこの論文で知りました。臨床で使用し、患者の苦痛のない生活に貢献できる可能性があると思いました。

地域在住女性高齢者の日常生活動作における身体機能的転倒予測因子

December 10, 2015

標準的なADLである「階段昇降の可否」が、女性高齢者の転倒リスク評価に有効であることを明らかにした論文です。

転倒を恐怖としている高齢者と恐怖としていな高齢者のリスク:実験的な検証

December 09, 2015

転倒を恐怖としている高齢者は動的バランスのパフォーマンスが低下しており、転倒の恐怖は身体機能とも関連していると考察しています。また、転倒に関しては横方向の身体動揺の安定性が重要であるとしています。

認知症の施設入所者のおける痛みの表現を減らすための痛みを見分ける能力と処置方法(PRT):クラスター無作為化比較試験

December 07, 2015

認知症患者の痛みの評価方法とその処置方法を看護師に教育することで、患者の痛みの訴えや痛み行動が減少するといった内容の論文です。看護領域だけでなく、リハビリテーション領域にも必要だと思いました。

恐怖回避思考は慢性腰痛を持つ高齢者の能力障害を予測する

December 05, 2015

慢性腰痛を持つ高齢者の歩行速度と痛みが様々な不安や過剰な行動を引き起こし、うつなどの精神的問題につながる恐怖回避思考は関連するという文献です。

頻繁な転倒の予測としてのフィジカルパフォーマンステスト:地域を対象としたコホート研究

December 04, 2015

頻繁に転倒するリスクのある高齢者の鑑別方法を検討した研究です。転倒を予測する主な要因について、医学的には多剤投与、感覚では視力低下、心理的には転倒恐怖感、姿勢制御ではタンデム立位の重心動揺、身体機能ではフィジカルパフォーマンステストであるとしています。フィジカルパフォーマンステストと握力を組み合わせたものが最も予測に適していると結論付けています。

PACSLAC-Jの開発と妥当性

December 02, 2015

認知症高齢者に対する痛みの行動評価であるPACSLAC-Jの信頼性と妥当性について調べた研究です。PACSLAC-Jの妥当性と信頼性の十分なエビデンスが示されています。

運動は高齢者のバランスを改善させる

November 28, 2015

高齢者のバランスに対する運動介入の効果を調査した94の研究をレビューした論文です。全体的には3週間に週3回の頻度で立位の動的課題を行う介入が効果的であると示されています。論文はフリーでは公開されていませんが、2007年版であればフリーで全文を読むことができます。

 

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